- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ジェロントロジー(高齢社会総合研究) >
- 高齢者市場・マーケット >
- 東京都内の診療所立地―都心部ビルテナントとしての現況と高齢化に伴う不動産需要の拡大可能性
東京都内の診療所立地―都心部ビルテナントとしての現況と高齢化に伴う不動産需要の拡大可能性

竹内 一雅
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1
2008年以降、東京都心部のオフィス需要は減少が続いている。景気の回復等から、当面、オフィス需要は増加すると見込まれるが、人口動態を考慮すると、これまでの社会・経済システムのままでは、中長期的にオフィス需要の大幅な拡大が続くと予測することは難しい。本稿では、現在の日本の成長業種の一つである診療所について都心部の立地状況の把握と都内診療所需要の将来予測を実施した。
2
保健所が保有する東京都心3区の診療所一覧によると、診療所の入居先は、大規模なオフィスビルよりも、繁華街を中心に中小ビルへの分散立地が進んでいる。オフィスビルを中心とした「ビル内」に入居する診療所は、診療所総数の81%と大部分を占めており、ビル内への入居比率は歯科診療所の方が高く、港区ではマンションへの入居比率が高いなどの特徴も明らかとなった。
3
事業所・企業統計調査からは、一般診療所と歯科診療所は、日本有数の成長業種であることが確認できた。ただし、医療施設調査から2006年以降の都内診療所数をみると、一般診療所数は全国をわずかに上回るスピードで増加し、歯科診療所数はほぼ横ばいへと頭打ちとなっている。診療所数の増加要因の分析からは、今後も一般診療所の開業圧力が続く可能性が高いと考えられる。
4
本稿の推計によると、今後も東京都内の診療所需要の増加が期待できる。ただし都心部ビルへの床需要は2020年までに3万m2程度と、現在のビルストックに比べて極めて小さい。今後の不動産需要という点からは、都心部よりも周辺住宅地や市郡部での増加が期待できる。また、医療ツーリズムに伴う医療滞在ビザの創設等の医療制度改革が予想以上の不動産需要を生み出す可能性がある。今後の人口動態を考えると、不動産事業者や投資家は、診療所などそれぞれの需要は大きくないニッチな業種であっても、それらの需要を着実に取り込んでいくことが、これからは重要になっていくと思われる
(2011年02月15日「基礎研Research Paper」)
このレポートの関連カテゴリ
竹内 一雅
竹内 一雅のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2017/12/07 | オフィス市場は好調継続。リート市場の低迷でJREITによる物件取得が減少。-不動産クォータリー・レビュー2017年第3四半期 | 竹内 一雅 | 基礎研マンスリー |
2017/11/09 | オフィス市場は好調継続。リート市場の低迷でJREITによる物件取得が減少。~不動産クォータリー・レビュー2017年第3四半期~ | 竹内 一雅 | 不動産投資レポート |
2017/11/08 | 東京都区部の若年人口-1970年~2015年に20~24歳人口は63%減 | 竹内 一雅 | 基礎研マンスリー |
2017/10/23 | 活況が続く大阪のオフィス市場-大規模ビルを中心に好調は梅田地区以外へ波及 | 竹内 一雅 |
新着記事
-
2025年03月14日
噴火による降灰への対策-雪とはまた違う対応 -
2025年03月14日
ロシアの物価状況(25年2月)-前年比で上昇が続き10%超に -
2025年03月14日
株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える -
2025年03月13日
インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ -
2025年03月13日
行き先を探す“核の荷物”~高レベル放射性廃棄物の最終処分とエネルギー政策~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【東京都内の診療所立地―都心部ビルテナントとしての現況と高齢化に伴う不動産需要の拡大可能性】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
東京都内の診療所立地―都心部ビルテナントとしての現況と高齢化に伴う不動産需要の拡大可能性のレポート Topへ