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■目次
1――支給開始年齢を繰り下げても支給期間は短くならない
2――避けて通れない支給開始年齢の更なる繰り下げ
3――私的年金を活用した自助努力支援策
■introduction
長い時間をかけて、厚生年金の支給開始年齢の60歳から65歳への繰り下げが進められている。2000年にスタートし10年を経過したところであるが、男性については、基礎年金部分の繰り下げがほぼ完了し、報酬比例部分の繰り下げが2013年から始まるのを待つという、いわば折り返し点にある。男性より5年遅れでスタートした女性の支給開始年齢の繰り下げは、基礎年金部分の繰り下げが62歳に達したところであり、男女を合わせた全体としては、進捗率は3割といったところであろう。繰り下げが完了するのは2030年。実に30年をかけての移行である。
しかしながら、これによって厚生年金の支給期間が5年短くなるということではない。厚生年金の支給は終身年金であるため、平均支給期間は支給開始年齢時点の平均余命に近いと考えられるが、近年の長寿化の進行による平均余命の伸びが5年間の繰り下げの効果を上回りかねない勢いである。別表に60歳と65歳の平均余命の推移を示したが、繰り下げがスタートした2000年の60歳の平均余命(B)と、繰り下げが完了する2030年の65歳の平均余命(C)を比べると、支給期間の短縮効果は1年弱に過ぎない。実は、支給開始年齢を60歳から65歳へ繰り下げる法案が最初に国会に提出されたのは1989年のことであり、その当時の60歳の平均余命(A)と2030年の65歳の平均余命(C)を比べると、支給期間は1年前後延びてしまう計算になる。この表からは、1970年代前半(年金制度の整備が進み「福祉元年」といわれた時代)の60歳の平均余命を(C)が5年程度上回ることも読みとれる。
(2010年09月27日「ジェロントロジーレポート」)
明田 裕
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