- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- ストレステスト後の欧州経済と銀行市場
2010年08月20日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 7月23日に公表されたストレステストは「前提の甘さ」が指摘されてはいるが、参加各行の経営に及ぼすソブリン・リスクの影響が把握可能になるなど、前回比では内容が大きく改善した。加えて、欧州ではギリシャの財政再建がそれなりの成果を挙げて、中核国・ドイツの成長がユーロ安を追い風に加速する一方で、米国経済に「二番底」懸念が台頭し、市場の関心がシフトしたことで、不安増大をとりあえず免れている。
- ストレステスト対象行の開示データによれば、ソブリン・リスクが高いと見られるギリシャなどPIGSの国債は、独仏国籍銀行が各国国籍の銀行に続いて多く保有しているが、独仏銀行が有するリスク加重資産との対比で見れば限定的な規模である。銀行の国籍や個別行のビジネスモデルによる違いはあるが、全体では財政危機の直接的影響よりも、景気を通じた間接的な影響の方が大きいと考えられる。
- ストレステストの不合格行や予備軍は中堅以下に集中しているが、大手にも公的支援下で経営再建中の銀行があり、欧州の金融システムはまだ危機モードから脱してはいない。
- 国ごと、銀行ごとの体力差からくる不安の火種はあるものの、一連の危機対応によって域内における政策協調が実現しており、先行きを過度に悲観する必要はないだろう。
(2010年08月20日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1832
経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/08/04 | 米EU関税合意-実効性・持続性に疑問符 | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/12 | 欧州経済見通し-回復基調だが、関税を巡る不確実性は大きい | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/05/13 | 一番乗りの米英合意をどう読み解くか? | 伊藤 さゆり | 研究員の眼 |
2025/04/18 | トランプ関税へのアプローチ-日EUの相違点・共通点 | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年08月15日
マレーシア経済:25年4-6月期の成長率は前年同期比+4.4%~堅調な内需に支えられて横ばいの成長に -
2025年08月15日
グローバル株式市場動向(2025年7月)-米国と日欧の関税大枠合意により安心感が広がる -
2025年08月15日
生成AIを金融リスク分析の視点から読み解いてみる-なぜ人間によるファクトチェックが必要なのか -
2025年08月15日
QE速報:2025年4-6月期の実質GDPは前期比0.3%(年率1.0%)-トランプ関税下でも輸出が増加し、プラス成長を確保 -
2025年08月15日
地方で暮らすということ-都市と地方の消費構造の違い
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【ストレステスト後の欧州経済と銀行市場】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ストレステスト後の欧州経済と銀行市場のレポート Topへ