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- 米6月雇用統計:失業率低下も、民間雇用増は予想に届かず
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■見出し
・政府の国勢調査要員の減少で、雇用全体では12.5万人減
・6月失業率は9.5%に低下~広義の失業率も16.5%に低下
■introduction
米労働省発表の6月雇用統計では、非農業事業部門の雇用者が前月比▲12.5万人(以下も前月比)となり、前月の大幅増(+43.3万人)から一転減少に転じた。市場予想は▲13.0万人だった。6月雇用統計では国勢調査に向けた一時雇用の変動(5月+41.1万人→6月▲22.5万人)による影響が大きかった。政府は今回の減少分を除いた国勢調査要員をなお33.9万人抱えており、その分が今後の雇用減少要因となる。
一方、国勢調査要員等が含まれない民間部門の雇用は+8.3万人と5月(+3.3万人)を上回ったが、市場予想(+11.0万人)には届かなかった。なお、3月(+15.8万人)、4月(+24.1万人)と好調だった時期との比較では、見劣りする状況が続いている (図表1)。
6月の前月比の雇用増減を部門別に見ると、生産部門では、製造業が+0.9万人(前月+3.2万人)、鉱業等が+0.5万人(同+3.2万人)と増加した一方、建設業では▲2.2万人(同▲3.0万人)と減少が続いた。不振の続く建設業では3・4月と33ヵ月ぶりに増加に転じたが、その後は再び減少している。また、製造業の増加数は今年最小となったが、内訳では耐久財が+1.3万人、非耐久財が▲4.0万人と耐久財中心の回復が続いている(図表2)。
民間サービス部門の雇用は+9.1万人(前月+2.0万人)と6ヵ月連続で増加したが、好調だった4月(前月比+17.4万人)と比べると増加数はほぼ半減している。内訳では、増加傾向が続く人材派遣(Temporary help services、前月比+2.1万人)を含む、専門・事業サービスが+4.6万人、レジャー関連が+3.7万人、教育・ヘルスケアが+2.2万人となった一方、金融(含む不動産)が▲1.5万人、小売業が▲0.7万人と減少した(巻末の図表4参照)。
政府部門では連邦政府が▲19.8万人と減少した一方、州・地方政府は▲1.0万人の減少となった。連邦政府の国勢調査に伴う一時的な雇用減を除く政府部門は2.7万人の増加となる。
上記のように6月雇用統計では、今年に入って初めて非農業部門が減少を見せ、民間部門の雇用増が市場予想を下回るなど、概して、最近の景気への慎重な見方を補強するものとなった。直前に発表されたADP社発表の民間雇用者数の不振や新規失業保険申請件数の予想以上の悪化で、雇用統計での大幅な悪化も警戒されていたが、発表値はやや弱めに留まった。景気回復スピードが弱まっていることを示唆したものの、サプライズではなく、発表後の金融市場では、株式が続落、事前の低下が大きかった長期国債金利は若干上昇の動きを見せた。
(2010年07月05日「経済・金融フラッシュ」)
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