- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 米6月FOMC:金融政策据え置きも“慎重”な景気認識が注目を集める
■見出し
・6月FOMCでは、景気と物価の現状認識に変化:6月FOMCの概要
・経済見通しは下方修正か
・今回の声明文の要旨は以下の通り:声明文の要旨
■introduction
6月22・23日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)では、市場の予想通り政策金利の維持(0-0.25%)を決定、FOMC後に発表された声明文では、“異例の低金利を長期間据え置く”との文言が再表明された。
今回のFOMCでは、前回4月FOMC以降の変化として、ギリシャ危機を契機とした欧州の債務懸念と金融市場の波乱の米景気への影響についての判断が注目されていた。その点、現状の景気認識については、景気の回復が「進行している」(前回は「強まっている」)としながら、「金融の状況は、主に海外要因を反映して経済成長を支える力を弱めた」とし、前回の「支え続けている」から転じて警戒感を示した。もっとも、景気の見通しに関しては、「当面の景気回復は緩やかなものに留まるも、物価が安定した状況の中、資源利用度が次第により高い水準に回復していくものと期待している」とし、前回と同様の見通しを維持した。
また、物価についても、「エネルギーや商品価格がここ数ヵ月下落を見せ、潜在的なインフレ傾向がより押し下げられた」との現状認識を加えた。あらためてインフレ傾向の低下に触れており、FRBはデフレへの警戒を強めているのではないかとの指摘も出ている。もっとも、物価の見通しについては、「かなりの生産活動資源の弛み(resource slack)がコスト上昇圧力を抑え、長期的なインフレ期待も安定しており、当面インフレは抑制されるだろう」とし、これまでの見方を据え置いている。
一方、金融政策決定にあたっては、従来から注目されてきた上記の声明文の文言が再表明されるなど、あらたな変更点はなかった。また、金利据え置きの条件として、前回同様「(1)経済資源の活用度の低さ、(2)インフレ傾向が抑制されていること、(3)インフレ期待が安定的であること」の3点を提示した。
なお、今回6月FOMCの資料となったベージュブック(地区連銀報告、6/9公表)では、12行の全ての地区連銀が経済活動の改善を報告、前回のセントルイス連銀を除く全ての地区連銀(11行)から景気回復の広がりが報告されていた。ただし、欧州の債務危機については、幾つかの地区連銀では、金融や景気に及ぼす潜在的な影響を懸念する意見を聞きとっており、不確実性や金融市場の変動を高めるとの報告を行っていた。
(2010年06月25日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
土肥原 晋
研究・専門分野
土肥原 晋のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2014/04/07 | 金融危機5周年、米経済に変革の兆し-シェールガス革命が復興の鍵に | 土肥原 晋 | 基礎研マンスリー |
2014/03/05 | 徐々に高まる成長ステージ、2015年本格回復を視野に | 土肥原 晋 | ニッセイ年金ストラテジー |
2014/02/25 | 金融危機5周年、米経済に変革の兆し-シェールガス革命が復興の鍵に | 土肥原 晋 | ニッセイ景況アンケート |
2014/02/21 | 寒波の影響色濃い米経済~金融政策はガイダンス変更に注目 | 土肥原 晋 | Weekly エコノミスト・レター |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月25日
金融システム、特に保険と年金基金のリスクと脆弱性に対する助言等の公表(欧州 2024秋)-EIOPA等の合同報告書の紹介 -
2024年10月25日
米労働市場の緩やかな減速が継続-景気が堅調を維持する中、失業率の大幅上昇は回避へ -
2024年10月25日
副業・兼業で広がるキャリア戦略~会社視点の働き方改革から生き方改革へ~ -
2024年10月24日
24年9月末時点の経過措置適用企業の進捗状況~経過措置の適用は2025年3月から順次終了~ -
2024年10月23日
円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【米6月FOMC:金融政策据え置きも“慎重”な景気認識が注目を集める】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
米6月FOMC:金融政策据え置きも“慎重”な景気認識が注目を集めるのレポート Topへ