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- ギリシャの財政危機とユーロ
2010年01月15日
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- ユーロ圏内の不均衡が目立つ中、ユーロの基調はギリシャに代表される周辺国のユーロ押し下げ圧力とドイツなどコア国の押し上げ圧力のバランスに左右されそうだ。
- ギリシャには、足もとの財政赤字や政府債務残高の水準が高いだけでなく、危機前の段階から統計の信頼性やEUの財政ルールへの姿勢に問題があった。当面の焦点は、ギリシャがEUからの財政赤字是正の「警告」を受けて進めている統計改善策や「財政健全化計画」がEUで「承認」され、一定の成果を挙げることができるのかにある。先行き、EUから何らかの救済が講じられる可能性はあるが自助努力が大前提である。
- しばらくは燻り続けると見られるギリシャの問題が、ドイツなどコア国の底固さや財政運営への信認を覆して、ユーロの大幅な減価を招くことは考え難い。ギリシャとスペインなど他の周辺国とは、財政面では区別すべきだが、「双子の赤字」を抱えて経済運営が苦しい点は共通だ。為替の減価を必要としているこれらの国々にとって、元を中心とするアジア通貨とドルの間で為替調整が進まないしわ寄せで、世界第二位の経常黒字国・ドイツを中核とするユーロの増価が進むシナリオは脅威である。
(2010年01月15日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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