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アジア諸国は、世界に製品を供給する生産基地として、あるいは、巨大な成長市場として捉えられるようになってきている。その背景には豊富な労働力群、並びに巨大な消費者群の存在がある。そのようなこともあり、これら諸国には、足許の世界的大不況から脱出するための牽引力発揮が期待されるところである。
他方、各国の人口増加率・高齢化率のデータは、かつての多産・人口爆発のイメージとは裏腹に、国により速度の差はあるものの、少子高齢化の波がアジア諸国にも着実に押し寄せつつあることを示している。
高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)に関するデータを見ると、日本は1990年から2010年の20年間で10ポイントの増加を経て、高齢化率20%を超えている。同じような現象が、韓国では2010年から2030年にかけて、中国では2020年から2040年にかけて起きることが想定されている。
高齢化には、社会保障制度の整備や医療水準の向上による寿命の延びの要因と、少子化進展による高齢者の総人口に占める割合の増加の要因とが影響する。また、平均寿命が伸びたとしても、少子化は、人口増加率の減少、ひいては将来の人口の純減につながることとなる。
データを見れば、一人っ子政策を推進した中国だけでなく、外国からの直接投資を受入れ、輸出指向型の経済発展を遂げたタイなどにおいても、少子・高齢化の進展が窺われる。
農業が産業の中心にあったところに、急速な工業化と経済発展が生じているアジア諸国では、中産階級の勃興・ライフスタイルの変化・少子高齢化の進展という日本の辿ってきた道が再現されることとなろう。
もちろん、アジア全体が超高齢化社会となるには少しの猶予がある。この枠組の中で新たな文化形成を考える場合、先行経験を持つ日本の貢献可能性は大きいものがあると思われる。
(2009年06月24日「基礎研マンスリー」)
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