2009年04月01日

公的年金から考える

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現在の厚生年金(新法)がスタートして今年で55年になる。1954年当時の社会情勢では負担が困難という理由で、本来は5%必要だった保険料が3%に抑えられ、その負担は、将来の復興と生まれて間もない団塊の世代に託された。それから四半世紀後、合計特殊出生率は2を下回り、少子化時代に突入した。
年金財政は、子どもが増え続ける時代には賦課方式が、子どもが減る時代には積立方式がよいという。1985年以降の「逃げ水年金」といわれる給付削減や支給開始年齢引き上げは、少子高齢化への対応であると同時に、積立方式への静かな移行でもある。
移行の受け手となったわれわれ個人は、給付削減に騒ぎながらも、そのことに気づき、将来のために積み立てを増やしてきただろうか。未来の子どもたちの負担を増やしていないだろうか。
先日公表された新たな財政見通しの前提では、約100 年後の現役世代(被保険者数)は現在の3分の1以下になるという。未来の子どもたちにどういう社会を残せるのか、年金の見通しが、それを考えるきっかけを与えてくれているのかも知れない。

(2009年04月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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