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「家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)によれば、2008年の「貯蓄を保有していない世帯(以下、貯蓄非保有世帯)」(二人以上の世帯)の割合は、22.1%となった。貯蓄非保有世帯の比率は、2005年の22.8%をピークに、景気拡大のおかげもあって2007年には20.6%に低下していたが再び上昇した。貯蓄非保有世帯の割合は1990年代頃から上昇傾向が顕著となり、2008年の水準は10年前の1998年の10.8%の二倍ほどに上昇している。一方貯蓄を保有している世帯の平均貯蓄額は増加傾向を続けており、2008年は1508万円と1998年の1309万円から15.2%増加している。
貯蓄非保有世帯の比率が上昇すると同時に所得水準の低い世帯の割合も上昇している。年収300万円未満の世帯の割合は1998年には8.4%であったが、2008年には18.7%となっている。低所得世帯の割合が上昇していることは、家計の二極化が進んでいることが、「貯蓄保有世帯の平均貯蓄額が増加する一方で貯蓄非保有世帯比率が上昇する」という一見矛盾した動きの原因であることをうかがわせる。高齢者は所得水準が低いことが多いので、高齢化が進んだことも低所得世帯割合上昇の原因だが、近年は高齢者以外でも低所得世帯の割合の上昇が見られる。世帯主の年齢別に見ると、1998年から2008年の間に30歳代では4.4%から14.1%、40歳代で3.4%から10.3%、50歳代で5.3%から12.3%へと上昇しており、老後生活のための貯蓄を行う年齢層で高い上昇を示しており、貯蓄非保有世帯の割合も各年齢層で上昇している。
家計の二極化が貯蓄非保有世帯増加の原因と見られることは、老後の生活資金を十分に蓄えられないままに高齢者となる人々が増加する恐れがあることを意味しており、将来大きな問題となる恐れがあるだろう。
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