2008年03月04日

サブプライム問題の影響大きい米住宅投資

土肥原 晋

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■要旨

1.米国の住宅不況は、2006年後半には減速方向への動きを強め、米国景気への最大のリスクとして警戒され始めたが、2007年に入るとサブプライム問題が住宅市場の悪化を一層加速、現下の景気にも深刻なダメージを与えている。
¥2.サブプライムローンは信用度の低い人向けの住宅ローンを指し、2004~2006年の3年間に多く利用された。特に、借り入れの2年後に金利が跳ね上がるリセット型が多用されたため、2008年中はリセットに伴う延滞増が見込まれる。このため、ブッシュ政権では5年間の金利リセット凍結等の借り手救済策を打ち出した。
3.一方、サブプライム問題は、当該ローンの借り手と貸し手(住宅ローン会社)の問題からサブプライムローン証券等の保有者の損失拡大へと進展、米国内外の主要金融機関を中心とした巨額の損失が金融・信用市場全体の大きな問題となっているが、こちらの方は、FRBの資金供給や金融緩和策を除けば、政府の対策は取られていない。
4.現下では、サブプライム問題の影響を受けた住宅不況の深刻化が、経済の他部門へと波及、既に、1月雇用者数が減少に転じるなど、リセッションの兆候が生じている。また、サブプライム問題が長引くと、住宅価格下落等からの影響も重なり景気の一層の下ぶれを招きかねない。半面、サブプライム問題の早期収束を図り、住宅価格下落等を軽減できるのであれば、その分、リセッションも浅く、住宅投資の回復も早まるものと思われる。

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土肥原 晋

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