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- 財政再建路線は継続されたのか-2008年度当初予算-
2008年02月27日
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- 昨年7月の参議院選挙以降、格差是正等を旗印とする歳出の拡大圧力が強まるなか、福田政権にとって最初の予算編成となった2008年度予算は、どこまで従来の歳出抑制路線が継続されるかが注目点となっていた。歳出総額と新規国債発行額を、ほぼ前年並みに抑制し、一般歳出も概算要求の範囲に収めたという結果のみを捉えれば、従来までの財政再建路線が継続しているようにも見える。
- しかしながら、財政再建に向けた指標となる基礎的財政収支(プライマリーバランス)は▲5.2兆円と、2007年度の▲4.4兆円から当初予算ベースでは5年ぶりに悪化した。国債発行額の抑制は果たしたものの、プライマリーバランスの改善傾向は途切れる形となっている。今回の予算は、財政再建という観点から見れば、むしろ、一歩後退したと捉えてもよいのではないか。
- 高齢化による社会保障関係費の拡大もあり、歳出の拡大圧力が強まるなか、今後も歳出抑制路線が徹底され得るか、微妙な状況になってきている。歳入面でも2007年度補正予算では税収が当初予算から減額修正されるなど、足元の税収の伸びは鈍化の傾向にある。日本の景気の先行きについて不透明感が急速に強まりつつあり、税収の大幅な自然増が続くことに期待することも難しくなってきている。
- 近年のプライマリーバランスの改善は、歳出抑制が継続されるなかで、税収が大幅に拡大したことによるものである。歳出の抑制が困難になるだけでなく、景気の失速により頼みの税収も低迷するようであれば、「2011年度のプライマリーバランスの黒字化」という目標も実現が難しくなってくるだろう。11年度の黒字化に向けた道筋は、転換点を迎えつつあると言えそうだ。
(2008年02月27日「経済調査レポート」)
篠原 哲
篠原 哲のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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2008/06/20 | 景気はピークを超えたか?~一致CIの要因分解 | 篠原 哲 | Weekly エコノミスト・レター |
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2008/06/10 | 企業の保険料負担は誰のものか? | 篠原 哲 | 研究員の眼 |
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