- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 年金 >
- 年金資産運用 >
- 年金運用における情報格差
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
情報が証券価格に織り込まれる程度の差である市場の効率性は、年金運用にも重要な問題である。仮に、強度な効率性が実現する場合には、私的情報さえ直ちに証券価格に反映されるため、投資家は有利な情報により超過利益を獲得できないはずである。
しかし、最近でも、インサイダー取引が摘発されるように、情報格差の存在は実証されつつある。有利な情報を持つ投資家が、それを用いて、超過利益を獲得できるため、情報を持たない投資家のリスクは高まる。銘柄数を増やして分散投資を行っても、情報格差が存在する限り、このリスクを分散化して、軽減することはできない。理論によれば、このようなリスクは、リスクプレミアム要因の一つであり、公開情報が少ない銘柄は割安な評価となる。
市場の効率性を前提とすれば、投資家が保有すべきリスク資産は、市場ポートフォリオであり、リスク回避度に応じてインデックス・ファンドと無リスク債券を持つ、という伝統的な2ファンド理論が成立する。一方、情報格差が存在する中では、個々の投資家のリスク資産の最適ポートフォリオは異なるはずである。最近、様々な格差が話題になっているが、運用における情報格差は、改善にコストを要するものの、成績向上の源泉でもある。
(2008年01月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
このレポートの関連カテゴリ
新着記事
-
2025年11月20日
持続可能なESGを求めて-目標と手段とを取り違えないこと -
2025年11月20日
「ラブブ」とは何だったのか-SNS発の流行から考える“リキッド消費” -
2025年11月19日
1ドル155円を突破、ぶり返す円安の行方~マーケット・カルテ12月号 -
2025年11月19日
年金額改定の本来の意義は実質的な価値の維持-年金額改定の意義と2026年度以降の見通し(1) -
2025年11月19日
日本プロ野球の監督とMLBのマネージャー~訳語が仕事を変えたかもしれない~
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【年金運用における情報格差】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
年金運用における情報格差のレポート Topへ










