2007年10月05日

10月ECB政策理事会~景気に及ぼす影響への見方は慎重化

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■見出し

・政策金利の4%での据え置きは予想通りの結果
・物価のリスクは上振れ、景気の不確実性は増大と判断
・注目される銀行貸出行動の変化とユーロ相場の動き

■introduction

欧州中央銀行(以下、ECB)は4日に開催された9月の政策理事会で政策金利を4%で据え置くことを決めた。
パリバ・ショック後、初の理事会となった9月の記者会見では、トリシェ総裁は「金融は緩和的(accommodative)」、「物価のリスクは上振れ」という従来の判断を維持しながら「金融市場のボラティリティーとリスクの再評価によって不確実性が高まっている」ため、「追加の金融政策の決定にあたっては、さらに情報を収集し、新たなデータを分析することが適切である」とし、予定していた利上げを見送った。
米連邦制度準備理事会(FRB)が50bpの利下げに踏み切ったこともあり、株価は着実に持ち直し、社債の保有リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップのスプレッドも徐々に低下するなど市場は落ち着きを取り戻しつつある。それでも、短期金融市場におけるターム物金利は高止まっていること、7~9月期の金融機関決算が出始めた段階にあることなど、不透明感は払拭されていないため、今回の据え置き決定は大方の予想通りの結果であった。

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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