2006年07月01日

国民年金保険料の不正免除問題に思う

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国民年金保険料の納付率を見た目で改善させるために、分母にあたる納付対象の被保険者の承諾を得ずに免除手続きをとった社会保険事務所が続々と発覚した。2/3の人しか自発的に払わない危機的な状況の下、自営業者や学生の保険料徴収に組織をあげて、取り組んでいる矢先の事件であった。
保険料免除は、法的手続きさえ踏めば、必要な制度である。事故で障害になったが、免除手続きが遅れている間であったため、障害年金を受給できない例もある。問題は、免除者が自ら社会保険事務所に申し出ない限り、未納扱いになってしまう仕組みにある。
今の仕組みを前提に、被保険者一人一人しらみつぶしに接触・徴収するために、社会保険庁の要員を増やすという愚策はとるべきでない。むしろ、税務署、郵便局、町村役場など省庁間の垣根を取り払って、国民からの徴収体制の一本化・効率化を進めるのが王道であろう。ITの活用も考えられてよい。
国民年金保険料以外でも、国勢調査など各種調査やNHKの集金など回収や徴収が、ますます困難になってきているという。これらの問題の抜本的な解決には、一方では、国や組織に対する国民の信頼感の回復という、より大きな課題があることも間違いないであろう。

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【国民年金保険料の不正免除問題に思う】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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