- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 設備投資 >
- 設備投資と不確実性:上場企業の財務データと利益予測データに基づく実証研究
設備投資と不確実性:上場企業の財務データと利益予測データに基づく実証研究

上智大学経済学部 教授 竹田 陽介

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.
本稿では、Caballero(1991)と同様の問題意識から、不完全競争・規模の経済性の観点からHartman の命題を扱いながら、先行研究が対象として来なかった「供給ショック」まで拡張した一般化されたモデルを提示し、日本の上場企業の財務データと市場における利益予測データを用いて、不確実性と設備投資の関係について実証分析を行なった。
2.
そこで得た結論は以下の通りである。実質売上高の変動に基づく不確実性が高まると、設備投資を縮小させる効果がある。同じ効果は、株価の変動による不確実性の増減においても見られるが、効果の大きさは、1997年以降になると微弱になっている。また、日経新聞社と東洋経済による企業の業績に関する予想が好転すると、企業の設備投資が高まるが、市場の評価に基づく不確実性の指標である業績予想の変動は、企業の設備投資に対して影響していない。
3.
実質売上高あるいは株価の変動が設備投資を減退させる効果は、理論モデルでは、マークアップ率が高い企業が、供給ショックに直面する場合に生じる。すなわち、市場独占度の高い企業に対して、その実質売上高や株価の決定要因としての供給ショックが支配的である状況において、不確実性の高まりは設備投資を減少させる効果が、日本では見られているということを示唆している。
(2005年03月25日「ニッセイ基礎研所報」)
竹田 陽介

新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【設備投資と不確実性:上場企業の財務データと利益予測データに基づく実証研究】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
設備投資と不確実性:上場企業の財務データと利益予測データに基づく実証研究のレポート Topへ