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在職中の労働者に退職給付(退職金・企業年金)の受給権を付与することは、米国のエリサ法を始め、企業年金のグローバル・スタンダードになっている。他方、わが国の退職金・企業年金は、退職時に初めて受給権が確定するものと考えられており、懲戒解雇に伴う退職金の没収や退職金規定の不利益変更も、禁止されていないのが現状である。
退職給付の会計基準や税法基準は、必ずしも使用者の法的な債務を意味しないが、グローバル・スタンダードを反映した新たな会計基準(退職金と企業年金を包括して、発生主義で認識)の導入は、いずれローカル・スタンダードとの調整を迫ることになるだろう。
企業年金基本法により、退職給付の受給権を明確化することは、労働者の保護が図られる一方で、企業財務や日本的雇用慣行の根本部分にも係わる大きな問題である。したがって、今後の少子高齢化の進展や雇用流動化を踏まえた、退職給付の保護法制のあり方について幅広い議論が望まれる。
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