1998年07月25日

ファッション重視が続く百貨店の販売戦略

小本 恵照

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■目次

1.ウェイト高まるファッション関連商品
2.主体性のある売場作りと情報・物流システムの整備が今後の課題

■introduction

百貨店売上の中でファッション関連商品(婦人服、服飾雑貨、化粧品)の拡大が続いている。1980 年以降の全国百貨店の商品別販売構成比の推移をみると(図表-1)、ファッション関連商品の中心である婦人服のシェアは、18.3%から25.6%へ7.3 ポイントの上昇を示している。それ以外の商品では、ファッション関連商品が多く含まれる身回品がシェアを高めている以外は、シェアが低下しているものが多い。
このようなファッション関連商品のシェア上昇は、百貨店各社が改装・増床や店舗新設の際に、ファッション関連の売場を拡張してきたことが直接的な要因であり、近年ではその傾向が一段と強まっている。最近の改装・増床をみると、ファッション関連フロアを2フロア増やすなど、かなり大胆な売場改革を行う事例も増えてきている(図表-2)。また、新設店でも、よりファッションを重視した店づくりを指向する動きが強まっている。昨年オープンしたJR京都伊勢丹では、売場の4割をファッションに充て新ブランドを大量投入するなど、ファッションによる既存店との差別化戦略が注目を集め、好調な業績を収めている。同様の動きは、高島屋新宿店や福岡三越などでもみられる。
ただ、過去15 年間のデータが入手できる主要百貨店の個別店舗について、婦人衣料品の構成比の変動を比較すると、かなりの格差がみられることも事実である(図表-3)。ファッション重視は大きな流れとなっているが、個々の店舗では、企業の経営方針、地域特性、顧客層、改装のタイミングの違いなどによって、その取り組みに濃淡が残っているものとみられる。

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