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- 北米での収益力格差が鮮明となる日系自動車メーカー
■目次
1. 乗用車シェアは危険ラインを突破
2. 今後は日系メーカー間の格差拡大の公算
■introduction
97 年に入り日系自動車メーカーの米国でのシェアが再び拡大傾向となってきた。 円高による価格競争力低下もありここ4~5年は伸び悩んでいたが、 91 年の総販売シェア 25.8%に比べるとまだ水準は低いものの、 97 年に入り増勢基調が鮮明となり、 なかでも乗用車シェアは摩擦危機ラインといわれる 30%を突破した。 要因は、(1)デザイン・設計といった開発機能にまで及ぶ現地化に成功しつつあること、 すなわち現地生産の深化が進み、 乗用車市場では北米仕様のトヨタ・カムリ、 本田・アコードといった現地生産車種の販売が 80 年代の好調時に匹敵する勢いとなっていること、(2)RAV4, CR-V といった日本から輸入された乗用車ベースの RV が米国で新たな市場を切り開き、 小型トラック分野のシェア拡大に貢献したこと、等があげられる。
しかしながら 97 年通年でのシェア増加は 0.8%とどまった。 その理由は、
(1)トヨタ、 本田といった北米プレゼンスの高いメーカーでは、 在庫が適性水準(60日)を大幅に下回っており、 人気の主力現地生産車の増産余力が少なかったこと。 そのためこれらのメーカーは量販から採算性向上 (インセンティブ削減等) に重点を移したとみられること、
(2)日本からの輸入が主力の小型トラック (SUV、 バン等) も日本での需要が好調で供給に限界があったこと、
(3)政治的視点から輸出増には限界、
といったことが挙げられよう。 したがって 97 年は主に供給面のボトルネックが、 主要日系メーカーの1台あたり採算性を改善させたものの、 シェアの急増を妨げたといえよう。
(1998年02月25日「基礎研マンスリー」)
加藤 摩周
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