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厚生省は、公的年金改革に向け「5つの選択肢」を発表した。国民に選択の余地がなかった従来の改正に比べ、この点では評価できるであろう。
しかし、その内容は、主に、拠出の限界と思われる保険料と、それに対する給付の組み合せを示しているだけで、一部識者が主張していた民営化の具体案が欠けている。恐らく「大胆な民営化は困難」との現実的な判断に基づくものと思われるが、シビルミニマムとして公的年金の果たすべき役割につき具体的に提示することが今、求められているのではないか。
国民年金未加入者の問題や、高齢高所得者の過剰給付問題などを枠外に置いたままで、単なる「掛金と給付の組み合わせ」の選択肢を示されても、国民は判断に苦しむだけであろう。
世代間の拠出・給付構造の問題については、よく指摘されているが、世代が同じでも、制度の欠陥に伴う所得移転があるのではないだろうか。そこで、課税の適正化の視点も加えた、公的年金改革案を期待したいものである。
(1998年02月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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