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■目次
1. 注目を集めるオープン価格
2. 90 年代から始まった本格的なオープン価格化
3. オープン価格化を促した競争激化と価格低下
4. 簡素化が進む取引体系
5. 緩やかながら、オープン価格化の動きは続く
■introduction
商品にメーカーの希望小売価格を表示しない「オープン価格」化の動きが拡がっている。現在オープン価格化が注目されているのは、主に次の2つの理由による。まず第1点は、オープン価格は、戦後日本の流通システムの大きな変容を象徴しているためである。戦後日本の流通システムは、大型店の参入を制限する中で、メーカーが卸売業者や小売業者を系列化し、希望小売価格制を含む日本的取り引き慣行をベースに取引を行う点に最大の特徴があった。
しかし、近年ではこの枠組みが大きく変化してきた。流通規制の緩和や消費者のライフスタイルの変化等によって大型小売店が成長し、メーカー、卸売、小売の力関係が変わる中でメーカーの流通系列化も緩んできた。新しい枠組みの下では日本的取引慣行の非効率性がむしろ目立つようになってきた。現在、この非効率性を是正し変化に対応した新たな流通システムを構築しようとする動きが強まっている。その動きの中ではオープン価格化が重要な手段と位置づけられており、その動向が注目されている。
第2点は、オープン価格化の影響が、現段階では未知数であることが挙げられる。オープン価格化と同時にリベートの簡素化や廃止を行い、小売段階での過度の価格競争を回避することで、販売促進費の圧縮が図れると考えているメーカーが多い。確かに、オープン価格導入とともに、リベートの見直しによる取引の簡素化は進んでいる。しかし、そのほとんどはリベートの全廃にまでは至っていないやや中途半端なオープン価格に止まり、その効果は今一つはっきりしていない。オープン価格導入の効果は、今後オープン価格化がさらに進展する中で、徐々に明らかになってくるとみられる。
(1997年07月25日「基礎研マンスリー」)
小本 恵照
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