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■見出し
・はじめに
・オーストラリアワインの歴史
・オーストラリアワインの国内消費量と急成長の背景
・オーストラリアワインの輸出状況
・ワイン業界と経済
・2025年に向けた展望
・おわりに
■introduction
週末の夜、シドニーの繁華街のレストランを覗いてみると家族、友達、恋人同士が会話に花を咲かせつつ夕食を楽しんでいる光景が目に入る。テーブルには必ずといっていいほどワインのボトルが置かれている。イタリア、フランス料理に限らず日本、中国、タイ、インド……料理の種類を問わず、ワインを飲んでいるのだ。オーストラリアにはB.Y.Oと入口に書かれているレストランをよく目にする。B.Y.Oとは“Bring Your Own"の略で、「お酒はご自分でお持ち込み下さい」の意である。酒屋で安くワインを購入したり、自宅のワインコレクションから持ち出してきたり、各自がそれぞれワインを持ち寄って食事を楽しむ。生活大国オーストラリアの魅力的な一面である。ここでは、オーストラリアの食生活からは切っても切れない存在であるワインについて、その歴史、現状、および今後の展望について述べてみたい。
ワインと言えばフランスかイタリアを思い浮かべる人が大半で、オーストラリアがワインの産地であることは余程のワイン通でなければ知る人はほとんどいないであろう。確かに、フランス、イタリア等のワイン大国と比較するとオーストラリアのワインは生産量において決してメジャーとは言えない。1994年の統計で見るとオーストラリアのワイン生産量はイタリアの59.3億リットル、フランスの54.6億リットルに対して5.9億リットルに留まっており、世界の総生産に占めるシェアは僅か約2%である。しかし、1788年当時移民によって初めてシドニー市内にブドウの木が植えられてから約200年余りの間にオーストラリアのワイン業界は目ざましい発展を遂げ、今日に至っては量でこそ世界の中でのウェイトは低いものの質においては世界を代表する知名度を得ている。特に過去30年間におけるワイン業界の伸びは目ざましく、生産量においては1966年の1.5億リットルから1994年には5.9億リットルと約4倍近くに膨れ上がっており、質においてもワインの種類を代表するシャードネー(コクのある辛口白ワイン、フランスのパーガンディーに相当)とキャベルネ・サーヴィニョン(柔らかい口当たりの赤ワイン、フランスのボルドーに相当)についてはフランスワインに続いて世界で2番目に位置づけられるほど洗練されたものが生産されている。この事はイギリス、アメリカで出版されている主要なワイン専門誌等にも記載されている。オーストラリアワイン協会(Australian Wine Foundation)は今後の展望として2025年迄にワインの売上高を年間45億豪ドル(約4050億円/1995年11億豪ドル)、輸出高を25億豪ドル(1995年/5.51億豪ドル)まで伸ばしフランス、イタリアと肩を並べる存在となることを目標に掲げている。
(1997年03月01日「調査月報」)
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日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
1997/03/01 | 伸びゆくオーストラリアのワイン産業 | 高野 誠 | 調査月報 |
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