- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- フィリピン経済の動向-望まれる構造改革-
<要旨>
- フィリピン経済は、現在、ラモス政権の規制緩和政策等から順調に回復しており、投資環境が改善される中、海外から投資対象としても注目されている。しかし、未だ発展途上にあり、低所得水準にとどまっているのも事実である。
- フィリピン経済がこれまで持続的成長過程に移行できなかった構造的要因について、戦後の推移を振り返りながら検討・整理すると、地理、歴史、社会、政治的要因としては、自然災害の多発、絶え間のない政情不安などがあげられ、経済的要因としては、工業化の遅れ、貿易・経常収支赤字、対外債務の累積、財政赤字、金融市場の未発達-などが指摘できる。
- さらに、貧困の直接的な要因としては、1)農村の過剰労働力と農民の階層分化、2)農村からの人口流入にともなう都市におけるスラムの形成、3)大地主、地方有力者、財閥等による経済の寡占-が重要である。
- 最近のフィリピン経済の情勢は好調なものの、これまで経済停滞をもたらせてきた経済構造はほとんど改善されていない。フィリピン経済が最近の成長加速を維持し、中長期的な持続的成長経路に乗るためには、今後の課題は多いといえる。
- しかし、最近の直接投資の受け入れ増加傾向が注目され、工業化を牽引していく可能性は十分ある。その意味で、ラモス政権がすすめる規制緩和など経済改革は、外生的なショックをもたらせているという点で大いに評価ができる。
このレポートの関連カテゴリ
牛越 博文
研究・専門分野
ソーシャルメディア
新着記事
-
2021年01月21日
2020年度特別調査 「第3回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要 -
2021年01月21日
EIOPAがソルベンシーIIの2020年レビューに関する意見をECに提出(2)-助言内容(LTG措置及び株式リスク措置)- -
2021年01月21日
貿易統計20年12月-10-12月期の外需寄与度は前期比1.0%(年率3.9%)のプラスに -
2021年01月20日
行動経済学から見たネット型マッチングサービスの課題と期待~コロナ禍における少子化対策として~ -
2021年01月20日
2020年中国REIT市場の現状と今後の見通し~公募REITが始動、民間資本や個人投資家に期待~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2021年01月21日
News Release
-
2020年10月15日
News Release
-
2020年07月09日
News Release
【フィリピン経済の動向-望まれる構造改革-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
フィリピン経済の動向-望まれる構造改革-のレポート Topへ