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- マクロ経済指標による日本の株価変動予測モデルの構策
1992年11月01日
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<要旨>
- 現在、多くの機関投資家は、官民の研究機関から提供される金融環境などのマクロ経済見通しに基づき、独自の判断を加えて資産配分を行っている。しかしながら、計量的資産配分を行うためには、ポートフォリオに含まれる個々の資産の期待収益率が必要になるが、現状では、これら期待収益率と経済見通しとは必ずしも明確にリンクされていないことが多い。そこで本研究では、これらの経済見通しをもとに、マクロ経済指標を説明変数に、日本の株式(TOPIX)の期待収益率の予測式を推計することを目的とした。
- 本研究の特徴としては、特に時系列データの定常性に着目していることが挙げられる。すなわち、使用するデータを変化率に加工して、そのデータが持つトレンドによる見かけ上の相関の良さを排除することによって、より信頼性の高い予測式を推計することを試みた。
- 分析に当たっては、パラメータの信頼性などの統計的チェックをし、さらに説明変数の符号条件も考慮した結果、6本の推計式が得られた。これらのパフォーマンスを見てみると、内挿での平均決定係数はO.59、修正決定係数の平均はO.54であった。また、外挿テス卜においては、収益率での方向適合率は7割強、水準値での誤差率は9%程度という比較的良い結果が得られた。
この結果、ユニバースに含まれるマクロ情報から導かれる適正と窓われる株価変動が推計され、期待リターンを想定する際の1つの参考情報として有用であると思われる。 - しかし、同じ外挿テストでのパラメータの信頼性などの推移を見てみると、必ずしも安定的とは言えない。さらには直近の推計に大きな誤差が生じていることも見てとれる。これは、本研究での分析手法が非常にプリミティブな回帰分析しか用いていないため、経済の構造変化や、最近の市場に大きな影響を及ぼしていると思われる市場センチメン卜などのマクロ以外の要因による変動を追いきれないことから生じていると考えられる。今後これらの問題を含めて本研究の延長として改善の余地が残されている。
(1992年11月01日「調査月報」)
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広瀬 毅彦
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