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- 90年代の企業金融 ― 資金需給のシミュレーション ―
1991年11月01日
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<要旨>
- 91~95年度の企業の外部資金需要を試算すると、伸び率は年平均6.4%程度と80年代後半の2ケタ増から低下し、実物投資向け資金の割合が増加する。業種規模別には引き続きサービス・卸小売の非製造業が中心であるが、不動産業のウェイ卜は低下する。
- 同時期の金融機関から企業への資金供給は、資本市場の影響を強く受ける。80年代後半に大企業で急増した増資、転換社債、新株引受権付社債によるエクイティ調達は、今後の発行額が株価水準に大きく左右される。一方、80年代後半に集中発行されたエクイティ債の償還が93年度から94年度に集中しており企業の資金需給は一時的に逼迫する可能性があり、また株価次第で所要資金に差が現れる。
- 貸出市場も、BIS自己資本規制が適用される金融機関では総資産が全体で年率8%程度の伸びにとどまるために、企業への資金供給の伸びも制約を受け、同時に資金供給量は資本市場の動向にも左右される。
- このため、企業の投資行動は金融面の制約から抑制気味となり、借入・エクイティ調達以外の普通社債・私募債・コマーシャルペーパーの発行が活発化する。
- 今後の企業金融は、大企業のエクイティ調達が株式市場に左右されること、また資金需給の引き締まり傾向と金融機関の利益率重視姿勢から借入金利が上昇することなど、調達額とコストの両面からリスクを想定する必要がある。
- 企業の財務行動も、低利大量調達と両建て運用による利潤最大化から、引き締まり傾向の企業金融環境の中で所要資金の量的確保と金利・為替変動や期間ミスマッチによる損失の軽減を重視したリスクセンシティブなものへ変容する可能性が大きい。
(1991年11月01日「調査月報」)
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小野 正人
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1994/10/01 | 日本企業の収益構造調整 -現状と展望 | 小野 正人 | 調査月報 |
1991/11/01 | 90年代の企業金融 ― 資金需給のシミュレーション ― | 小野 正人 | 調査月報 |
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