- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 高齢者の願望・ニーズとシルバーサービスの現状と展望
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
<要旨>
1.高齢者の願望・ニーズの分類
高齢者市場を検討する前に高齢者がどのような願望・ニーズを持っているかを分析した。ここで抽出した願望・ニーズを分類整理すると次の8種類の願望・ニーズにまとめることができた。
(1)自己実現を追求したい
(2)楽しさを追求したい
(3)収入を確保したい
(4)体力等の衰えを防止したい
(5)高齢者としてのステイタスを確保したい
(6)自分の死に関する心配事等を減らしたい
(7)老後の生活に関する不安を減らしたい
(8)その他の願望
2.高齢者の願望・ニーズからみた現在のシルパーサービスの現状
現在提供されているシルパーサービスは、「健康、収入などの老後の生活の不安解消願望に対するサービス」と「生きがい、楽しさを追求する願望に対するサービス」に大別することができる。また、現在のシルバーサービスは、老後生活の不安を解消するための高齢者福祉関連サービスに偏っている傾向がある。
3.わが国の高齢化の特徴と課題
わが国の高齢化は、「高齢化の進展が極めて速い」、「高齢化のピーク時点での高齢者比率が高い」、「75歳以上のシニア高齢者が多い」という3つの特徴がある。また、福祉の対象となる高齢者も増大するが、経済面、健康面ともに問題のない高齢者も同時に今後は増大するという側面も見逃せない。
したがって、福祉に重点を置いたシルバーサービスの充実はもとより、高齢者が老後人生を充実させることのできる生きがい関連分野のシルバーサービスの本格的展開が豊かな高齢社会を築くうえで横めて重要である。
4.老後人生を充実させるニューサービスの検討
今後充実させるべきシルパーサービスは、現在不足気味である生がい関連のサービスである。たとえば、自己実現に積極的に取り組もうとする高齢者に対するサービスは、目的を達成するために必要な諸情報をわかりやすく提供することや自己実現の場の提供が主となるであろう。
また、趣味などの楽しさを追求することで生がいを得たい高齢者には、多様なニーズに応える豊富なサービスの提供と高齢者がハンディを持った場合にでも利用しやすいサービスの供給形態の開発が必要になろう。
(1991年10月01日「調査月報」)
このレポートの関連カテゴリ
岸田 宏司
岸田 宏司のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2008/12/26 | 知的障がい者の経済的自立を目指す取組 -障がい者が売れる商品を生み出すためのケーススタディ- | 岸田 宏司 | ニッセイ基礎研所報 |
| 2005/09/25 | 中高年男性の定年に関する基礎研究II | 岸田 宏司 | ニッセイ基礎研所報 |
| 2003/12/01 | 「暮らしと生活設計に関する調査」 -(中高年男性を対象としたパネル調査)について | 岸田 宏司 | その他レポート |
| 2003/11/25 | 定年によるソーシャル・キャピタルの変化 -関係性再構築プロセスの検討- | 岸田 宏司 | ニッセイ基礎研所報 |
新着記事
-
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 -
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 -
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 -
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ -
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【高齢者の願望・ニーズとシルバーサービスの現状と展望】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
高齢者の願望・ニーズとシルバーサービスの現状と展望のレポート Topへ










