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2015年07月07日

急増する訪日外国人のホテル需要と消費支出-2014年の訪日外国人旅行者数は前年比+29%増、外国人延べ宿泊者数は同+34%増、消費額は同+43%増で2兆円を突破

金融研究部 不動産市場調査室長   竹内 一雅

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訪日外国人旅行者数の急増に伴い、ホテルでの宿泊や消費における外国人の存在感が高まっている。
   2014年の訪日外国人旅行者数は前年比+29.4%の増加で、国内ホテル(旅館を含む)の外国人旅行者の延べ宿泊者数は前年比+33.8%、訪日外国人の消費額は前年比+43.1%の増加で2兆278億円に達した。最近、ホテルの稼働率が極めて好調に推移しているのは、延べ宿泊者数では全体の1割に満たない外国人の増加が、日本人宿泊者数の減少を補ってきたためである。

 

1―急増する訪日外国人旅行者数

1│訪日外国人旅行者数の急増

2014年の訪日外国人旅行者数は1,341万人に達した[図表1・2]。2012年以降の前年比増加率は+34.4%、+24.0%、+29.4%と大幅な増加が続いている。2015年に入っても増加の勢いは止まらず、1~4月の訪日外国人旅行者数は590万人で前年比+43.6%(+179万人)の増加だった。
   2015年4月現在、過去12ヶ月間の累計は1,520万人に達しているため、2015年中に1,700万人達成の可能性も出てきた。
   訪日外国人旅行者数の急増は、アジア諸国の経済成長に伴う海外旅行需要の増加、円安の進展、LCCの就航増加など国際線発着枠の拡大、クルーズ船の寄港増加、アジア諸国等へのビザ緩和、訪日プロモーション、消費税免税制度の拡充、外国人旅行客受け入れ態勢の進展、日本の安全性への評価など様々な要因による。



 

2│国籍別の訪日外国人旅行者数

2014年の訪日外国人旅行者数1,341万人のうち、国籍・地域別に最も多かったのが台湾の283万人(前年比+28.0%増)で、韓国(276万人、同+12.2%増)、中国(241万人、+83.3%増)が続き、この3カ国で全体の6割を占めている[図表3]。



 

2―外国人宿泊者数の増加

1│ホテル稼働率と外国人宿泊者

訪日外国人旅行者数の増加に伴い、国内のホテル稼働率は近年で最も高い水準で推移している。ホテルでの高稼働率の維持は、日本人の延べ宿泊者数の減少(▲489万人泊の減少)を、延べ宿泊者数では1割に満たない外国人の増加(+1,133万人泊増)が補ったためである[図表4]。



 

2│国籍別、都道府県別の宿泊者数

2014年に延べ宿泊者数が多かったのは、台湾の783万人泊(構成比19%)、中国の764万人泊(同19%)、韓国422万人泊(同10%)で、この3カ国で全体の48%を占めている。
   こうした外国人の宿泊地は特定の都道府県に集中している。2014年の外国人延べ宿泊者数の地域別構成比は、東京エリア(東京都・千葉県・神奈川県)が全体の39%、関西エリア(大阪府・京都府・兵庫県)は22%、中京・中部エリア(愛知県・山梨県・静岡県・岐阜県・長野県)は10%、北海道は9%、北部九州(福岡県・長崎県・熊本県・大分県)は6%、沖縄は5%で、その他は8.5%だった。
   2012年から2014年に外国人の延べ宿泊者数が最も増加したのは東京都の+516万人泊で、次いで大阪府の+278万人泊、北海道の+202万人泊、沖縄県の+153万人泊、京都府の+110万人泊だった。また増加率が最も高かったのは香川県の+254%、次いで沖縄県の+196%だった。

 

3│都道府県別・宿泊施設タイプ別の外国人延べ宿泊者数構成比

2014年の宿泊施設タイプ別の外国人比率(外国人延べ宿泊者数/延べ宿泊者総数)が最も高いのは千葉県のシティホテルで、外国人が延べ宿泊者のほぼ半数(48%)を占め、次いで東京都の旅館(38%)、大阪府のシティホテル(37%)が続いている[図表5]。
   旅館全体の外国人比率は4%にすぎないが、東京都や北海道、山梨などの旅館では外国人が占める比率が急上昇しており、外国人の受け入れ態勢の整備により、旅館も外国人の宿泊需要を取り込みつつある。



 

3―訪日外国人の旅行消費額

訪日外国人旅行客数の急増および円安の進展、アジア地域の所得の増大、免税品目の拡大・免税制度の簡素化などに対応して外国人旅行客の国内での消費額は拡大している。2014年の訪日外国人による旅行消費額は2兆278億円と2兆円を突破し、前年比+43.1%の大幅な増加だった[図表6]。
   消費総額のうち、中国が全体の28%を占め、次いで台湾(同18%)、韓国(同10%)、アメリカ(同7%)、香港(同7%)となっている。
   訪日外国人の一人当たりの旅行支出額は、2014年全体の15万1千円だった。中国人の一人当たり支出額は特に多く、2014年は23万2千円、2015年第一四半期には30万円へと急増している。
   なお、百貨店における訪日外国人売上高(免税手続きベース売上高)も大幅な増加が続いている。2013年4月の訪日外国人売上高は単月で過去最高の38億6千万円(総売上高の0.8%)だったが、2014年4月には60億9千万円(同1.5%)に、2015年4月には197億5千万円(同4.2%)に達した。

 

4―国内ホテル投資・ホテル計画

最近の訪日外国人旅行者数の急増とホテル稼働率の上昇などから、国内ホテルへの投資が活発となっている。ジョーンズラングラサール(JLL)によると、2014年の国内ホテルの売買取引数はリーマンショック前のピークを超えて過去最高の101ホテルに達した。
   ホテル売買が活況を呈する反面、ホテルの着工件数は、まだリーマンショックや東日本大震災からの回復途上にある。2014年の宿泊業用建築着工件数は867件(2005年比▲43%減)で、着工床面積は74万m2(同▲50%減)であった。
   現在の外国人旅行者数の増加と2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、現在、多くのホテル建設計画が動き始めている。計画が明らかになっているホテルチェーンの建築計画だけでも、2015年の開業予定は全国で54軒(1万2千室)、2016年も24軒(5千室)だった[図表7]。2015年~2018年の開業予定は2万室を上回る状況にあるが、今後、さらに開発計画が増加することが予想される。

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金融研究部   不動産市場調査室長

竹内 一雅 (たけうち かずまさ)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

(2015年07月07日「基礎研REPORT(冊子版)」)

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