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年収の壁への根本的な対策として適用拡大と第3号の縮小が課題に~年金改革ウォッチ 2023年10月号
保険研究部 主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任 中嶋 邦夫
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1 ―― 先月までの動き
○厚生労働省年金局 被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議
9月1日(第1回) 被用者保険の適用拡大に向けた広報の取組、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00035.html (資料)
○社会保障審議会 企業年金・個人年金部会
9月8日(第26回) 働き方・ライフコースに対応し公平で中立的な私的年金制度の構築
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35109.html (資料)
9月25日(第27回) 私的年金制度の普及・促進
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35398.html (資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
9月11日(第69回) 日本年金機構の令和4年度業務実績の評価。その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo69_00001.html (資料)
○社会保障審議会 年金部会
9月21日(第7回) 第3号被保険者制度、女性の就労の制約と指摘される制度等
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230921.html (資料)
2 ―― ポイント解説:年金制度における「年収の壁」への根本的な対策
*1 2023年9月27日に公表された「支援強化パッケージ」は2023年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」で「当面の対応」と位置づけられており、同方針には「さらに、制度の見直しに取り組む」と記載されている。
130万円は、年金制度における被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)の判断基準である。会社員などの厚生年金加入者の配偶者が、厚生年金へ加入せずに年収が130万円以上になると被扶養配偶者でなくなり*3、国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料(2023年度は月16,520円)を負担し、手取り収入が減少する。
*2 一般に「106万円の壁」と呼ばれているが、雇用契約上の基本給が月8.8万円未満であれば、残業代や賞与等で年収が106万円を超えても厚生年金の加入要件に該当しない。130万円と比べて就業調整を招きにくい工夫が施されている。
*3 130万円は年間収入の見込み。残業代等や給与以外の収入も含むが、一時的に130万円を超えても総合的に判断される。
106万円(基本給8.8万円)は、2016年に厚生年金をパート労働者に適用する際に設けられた。従来の厚生年金に賃金要件はなかったが、拡大規模や就労調整などの観点から議論され、最終的には国民年金保険料とのバランスを根拠とする財界の要望に沿う形で月8.8万円となった*4。
130万円は、1986年の基礎年金導入時に健康保険の基準に揃える形で導入された。当初は当時の所得税の控除に合わせて90万円だったが、導入後7年間は所得の伸びに合わせて引き上げられ、1993年以降は130万円に据え置かれている。
*4 月8.8万円に厚生年金の保険料率(18.3%)をかけると約1.6万円となり、当時の国民年金保険料と同程度であった。
(2023年10月10日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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