2020年06月03日

新型コロナ禍から考える年金改革法案

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4月14日、新型コロナ禍下で年金改革法案の国会審議が始まった。

この法案の柱の1つは、厚生年金の適用拡大である。週労働時間が20時間以上かつ賃金が月8.8万円以上等の要件を満たすパート労働者については、2016年10月から対象となってきた正社員500人超の企業に加え、2022年10月からは同100人超、2024年10月からは同50人超の企業で強制適用の対象となる。加えて、契約社員等も含めて、雇用契約期間が2か月以内でも更新等で2か月超の雇用見込みがある場合は、契約当初から厚生年金の対象となる。

拡大の対象となる労働者は、基礎年金(いわゆる1階部分)に加えて厚生年金(2階部分)も受け取れるようになる。だがこの給付には、労働者や企業の保険料負担が伴う。国会審議や取り巻く世論では、新型コロナ禍下の経済に配慮する意見が出て来るだろう。

一方、新型コロナ禍下では中小企業や非正規労働者での雇用の不安定さが浮き彫りとなったが、今回の改革案は彼らの老後の安定化に寄与する。当面の困難の克服は重要だが、近視眼的になりすぎず、将来の困難にも配慮した国会や政府の対応を期待したい。
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(2020年06月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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