2020年05月19日

欧州大手保険Gの2019年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況-

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3|Generali
(1)全体の状況
2019年の新契約価値(NBVは、2018年に比べて5.3%(比較ベースでは、2.2%、以下同様)減少して、17.77億ユーロとなった。

新契約マージン(New Business Margin(=新契約価値/新契約保険料現在価値(PVNBP))は、2018年に比べて0.46%ポイント(0.49%ポイント)低下して、3.89%となった。これは、新商品の機能を改善(保証をさらに削減又は削除)し、保障契約のさらなる成長を促進するための経営行動を取ったにもかかわらず、金利の急激な低下により貯蓄契約が大きな影響を受けたことによる。

新契約マージン(New Business Margin(=新契約価値/新契約年換算保険料(APE))は、2.7%ポイント(3.0%ポイント)低下して、38.9%となった。

2018年に比べて、新契約保険料現在価値(PVNBPは5.7%(10.1%)増加して456.64億ユーロとなり、新契約年換算保険料(APEは1.2%(5.4%)増加して45.69億ユーロとなった。

なお、新契約IRR(内部収益率)は、3.3%ポイント低下して20.2%となった。
生命保険事業の新契約の状況
(2)新契約の商品タイプ別、地域別の構成比
Generaliは、欧州において金利低下が進む中で、イタリアやドイツを中心に、保証利率の引き下げに加えて、無保証等の低資本集約商品のウェイトを高めてきている。

新契約の商品タイプ別、地域別の構成比については、以下の図表の通りとなっている。

グループ全体での商品タイプ別の内訳は、貯蓄が52%(2018年は49%、以下同様)、保障が22%(20%)、ユニットリンクが26%(31%)となり、2018年に比べて貯蓄のウェイトが高まった。
新契約APEの地域別構成比及び地域毎のPVNBPによる商品タイプ別構成比
(3)新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別状況
新契約保険料現在価値(PVNBP)、新契約価値(NBV)及びその比率としての新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別状況は、以下の図表の通りとなっている。

新契約マージン(対PVNBP)については、保障が8.19%と高く、ユニットリンクが3.58%で続き、貯蓄は2.25%となっている。2018年との比較ではここ数年の傾向とは異なり、全ての商品タイプで低下している。
PVNBP、NBV及び新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別状
(4)新契約マージンの地域別状況
新契約マージンとIRR(内部収益率)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。

構成比は低いものの、中東欧の新契約マージンが高くなっている。親会社国イタリアの水準がグループ全体より高い一方で、フランスのマージンやIRRは他の国・地域に比べて低い水準となっている。
新契約マージン等の地域別状況
(参考)元受保険料の商品タイプ別内訳
元受保険料の商品タイプ別内訳は、以下の図表の通りで、保有ベースでは引き続き、貯蓄・年金の構成比が5割以上となっている。2018年から2019年にかけては、ユニットリンクの構成比が低下して、貯蓄・年金や保障の構成比が上昇した。

なお、低資本商品の責任準備金の比率が2018年の56.7%から2019年には60.5%に上昇している。
生命保険事業の元受保険料(Gross direct premiums)の商品タイプ別内訳
4|Aviva
(1)全体の状況
2019年の新契約価値(NBVは、2018年に比べて1.8%増加して、12.24億ポンドとなった。これは、主として英国におけるバルク年金の取得による。

新契約マージン(New Business Margin(=新契約価値/新契約保険料現在価値(PVNBP))は、2018年から0.2%ポイント低下して2.7%となった。

新契約保険料現在価値(PVNBPは、2018年に比べて12.0%増加して、456.65億ポンドとなった。
生命保険事業の新契約の状況
(2)新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別内訳(英国)
英国における生命保険事業の新契約価値(NBV)、新契約保険料現在価値(PVNBP)及び新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別内訳は、以下の図表の通りとなっている。

2018年は、保障以外の商品タイプの新契約価値が増加し、特に年金・エクイティリリースの新契約価値が45%と大きく増加して、その構成比も48%に増加した。

また、新契約マージン(対PVNBP)は年金・エクイティリリースの新契約マージン(対PVNBP)が4.1%から4.6%に上昇したことから、全体でも2.0%から0.1%ポイント上昇して、2.1%となった。保障や医療等は引き続き相対的に高い新契約マージン(対PVNBP)を維持している。
英国生命保険事業の新契約マージン(対PVNBP)等の商品タイプ別状況
(3)新契約マージン(対PVNBP)の地域別状況 
新契約価値(NBV)及び新契約保険料現在価値(PVNBP)の地域別内訳は、以下の図表の通りとなっている。
2019年のNBV及びPVNBPの地域別内訳
新契約マージン(対PVNBP)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。

地域別では、アジアやポーランド等の新興国での新契約マージン(対PVNBP)が高くなっている。一方で、英国の水準は、欧州(英国以外)と比較しても低い。
新契約マージンの地域別状況/新契約マージンの「欧州(英国以外)」の国別状況
(参考)営業利益の商品タイプ別内訳
英国生命保険事業の営業利益の商品タイプ別内訳は、以下の図表の通りとなっている。

新契約価値と同様、2019年は長期貯蓄と年金・エクイティリリースが二桁進展したが、保障が25%のマイナス進展となった。

また、2019年のグループ全体の営業利益のうち、年金・エクイティリリースが47%を占めている。
英国生命保険事業の営業利益の商品別内訳
5|Aegon
(1)全体の状況
2019年の新契約価値(MCVNB:Market consistent value of new business)は、2018年に比べて13.9%減少して、4.65億ユーロとなった。

新契約マージン(New Business Margin(=新契約価値/新契約年換算保険料(APE))は、2018年に比べて9.0%ポイントと大きく低下して、13.6%となった。

新契約保険料現在価値(PVNBVは、2018年に比べて42.8%と大幅に増加して477.20億ポンドとなった。新契約年換算保険料(APEも、2018年に比べて42.4%と大幅に増加して34.10億ユーロとなった。
生命保険事業の新契約の状況
(2)新契約価値(NBV)及び新契約年換算保険料(APE)の地域別状況
新契約価値(NBV)、新契約年換算保険料(APE)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。

新契約価値(NBV)では、米州(北米・中南米)が5割超を占めているが、新契約年換算保険料(APE)の7割超は欧州である。

新契約年換算保険料(APE)が大きく増加したが、新契約価値(NBV)は米州の影響で全体でもマイナス進展となった。
NBV及びAPEの地域別状況
Aegonは、事業を3つ((1)Manage for Value(米州の年金・ランオフ、オランダの生命保険、英国の既存事業等)、(2)Drive for Growth(米州の生命保険・医療・傷害、変額年金、英国のデジタル事業、中東欧、アジアの富裕層顧客事業等)、(3)Scale-up for the Future(米州のミューチュアルファンド、中南米、スペイン・ポルトガル等)に分類して、管理している。

「(1)Manage for Value」では、効率性と資本形成に焦点を置いており、「(2)Drive for Growth」では、市場シェアと顧客ベースの拡大を目指すとし、「(3)Scale-up for the Future」では、将来のためのビルディングブロックとして、分散化されたポートフォリオの機会に投資するとしている。今後の市場について、(1)は漸減していくが、(2)と(3)が進展していくことを想定している。

2019年は、「(1)Manage for Value」では、長寿再保険契約の成功がAegon Netherlandsの配当支払能力の回復に貢献した。「(2)Drive for Growth」では、英国がCofunds統合により節約を実現し、Aegon Asset Managementを組織的に再編成して成長に集中した。「(3)Scale-up for the Future」では、売上高の高い中国の保険合弁事業がeコマースパートナーシップを活用した。
(3)新契約マージン(対PVNBP)の地域別状況
新契約マージン(対PVNBP)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。

新契約マージン(対PVNBP)については、2018年に比べて、欧州は3.4%に上昇したが、米州とアジア・新興市場は低下した。
新契約マージン等の地域別状況
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中村 亮一

研究・専門分野

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