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少子化の中で存在感を増し始めた外国人居住者の住宅需要ー東京都では増加世帯数の3割を占める
ニッセイ基礎研REPORT(冊子版) 2017年7月号

竹内 一雅
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こうした状況は、外国人の2割が居住する東京都でも同様だ。東京都では2016年に増加した人口(+11万5千人の増加)の33%を外国人が占めている。都内の世帯数は2016年に全体で+10万世帯増加したが、外国人のみ及び複数国籍世帯は+2万9千世帯の増加で世帯増加数の約3割を占めた[図表2]。全国で最も外国人人口の多い市区町村である新宿区では、世帯増加数の60%を外国人のみ及び複数国籍世帯が占め、豊島区ではこの比率が64%に達している。
国内の外国人労働者数は2012年からの4年間で59%の増加となり、同期間に外国人留学生は48%の増加だった。人手不足や政府による高度外国人人材の受け入れ方針などもあり、各国からの外国人労働者や外国人留学生が急増しているからだ。その中でも、近年、特に増加率が高いのがベトナムとネパールからの労働者と留学生で、在留外国人の国籍別にみてもベトナムとネパール国籍の増加が際立っている。
外国人人口が増加しているとはいえ、総人口に占める外国人の比率は、全国で1.5%(2016年10月時点)、東京都で3.6%(2017年1月時点)、比率の高い新宿区でも12.2%にすぎない。しかし、外国人人口の増加は急速だ。国内の外国人は若年層の人口が多いため、特に20歳代で外国人比率の増加が顕著となっている。例えば新宿区では20~24歳人口の35%が外国人で、15~19歳や25~29歳も23%に達し、その比率は毎年高まっている。
今後、日本人の人口減少と少子高齢化や経済のグローバル化の中で、外国人の人口と雇用はさらに増加し、住宅需要(特に賃貸住宅)に占める外国人比率はますます高まると思われる。こうした動向は東京だけでなく、大都市を中心に各地に広がる可能性が高いだろう。不動産事業者や住宅オーナーにとっては、外国語対応をはじめとする外国人向けサービスの充実を図り、増加する外国人需要を取り込むことが、これからの住宅事業での生き残りと事業拡大に大きく貢献することになるかもしれない。
(2017年07月07日「基礎研マンスリー」)
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