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- 日銀短観(3月調査)~大企業製造業の景況感は悪化、先行きも悲観的
2016年04月01日
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5.設備投資・雇用:16年度設備投資計画はやや弱め、人手不足感は逼迫続く
生産・営業用設備判断D.I.(「過剰」-「不足」)は全規模全産業で▲1と、前回(▲1)から横ばいであった。雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は全規模・全産業で▲18と前回から1ポイント上昇(不足が緩和)している。内外需の低迷が人手不足感の小幅な緩和に働いたようだ。
上記の結果、需給ギャップの代理変数とされる「短観加重平均D.I.」(設備・雇用の各D.I. を加重平均して算出)は前回から若干上昇している(▲12.3ポイント→▲11.7ポイント)。
ただし、水準としては人員の不足感は極めて強い状況が続いている。内訳を見ると、従来同様、製造業(全規模で▲9)よりも、労働集約型産業が多い非製造業(全規模で▲26)で、人手不足感がより強い。また、企業規模別で見ると、人材調達力の違いが反映されているとみられるが、中小企業が▲20と大企業の▲11をかなり下回る状況が続いている。この結果、中堅・中小企業非製造業では▲27と全区分中最大のマイナス幅(人手不足感)となっている。
人手不足は製造業・非製造業や企業規模を問わず幅広く共有化されているが、特に中堅・中小企業非製造業においては深刻な経営課題になっている。
先行きの見通し(全規模全産業)は、設備判断D.I.が現状比横ばいの▲1、雇用判断D.I.は2ポイント低下の▲20と、雇用においてさらに不足感が強まることが見込まれている。両者を反映した「短観加重平均D.I.」もさらに低下に向かう見込み(▲11.7ポイント→▲13.0ポイント)である。雇用判断D.I.の低下はとりわけ中小企業で目立っており、中小企業における人手不足に対する警戒感が現れている(図表9,10)。
上記の結果、需給ギャップの代理変数とされる「短観加重平均D.I.」(設備・雇用の各D.I. を加重平均して算出)は前回から若干上昇している(▲12.3ポイント→▲11.7ポイント)。
ただし、水準としては人員の不足感は極めて強い状況が続いている。内訳を見ると、従来同様、製造業(全規模で▲9)よりも、労働集約型産業が多い非製造業(全規模で▲26)で、人手不足感がより強い。また、企業規模別で見ると、人材調達力の違いが反映されているとみられるが、中小企業が▲20と大企業の▲11をかなり下回る状況が続いている。この結果、中堅・中小企業非製造業では▲27と全区分中最大のマイナス幅(人手不足感)となっている。
人手不足は製造業・非製造業や企業規模を問わず幅広く共有化されているが、特に中堅・中小企業非製造業においては深刻な経営課題になっている。
先行きの見通し(全規模全産業)は、設備判断D.I.が現状比横ばいの▲1、雇用判断D.I.は2ポイント低下の▲20と、雇用においてさらに不足感が強まることが見込まれている。両者を反映した「短観加重平均D.I.」もさらに低下に向かう見込み(▲11.7ポイント→▲13.0ポイント)である。雇用判断D.I.の低下はとりわけ中小企業で目立っており、中小企業における人手不足に対する警戒感が現れている(図表9,10)。
15年度設備投資計画(全規模全産業)は、前年度比で8.0%増と、前回調査時点の7.8%増から小幅に上方修正された。例年、3月調査では計画が固まってくることに伴って、中小企業で上方修正される傾向が強く、今回も大企業における下方修正の影響を穴埋めした。
さすがに経営環境の悪化を受けて一部先送りの動きも出ていると考えられ、昨年3月調査での上方修正幅(0.8%ポイント)には及ばないものの、依然高水準の企業収益を背景に、下方修正は避けられた。とりわけ、労働集約的側面が強い非製造業では人手不足感が強く、省力化投資が一部下支え役になっているとみられる(図表11~12)。
今回から新たに調査・公表された16年度の設備投資計画(全規模全産業)は、15年度計画比で▲4.8%となった。例年3月調査の段階ではまだ計画が固まっていないことから前年割れでスタートする傾向が極めて強いため、マイナス自体にあまり意味はない。そこで、近年の3月調査との比較が重要になるのだが、今回調査の結果は例年よりもややマイナス幅が大きめだ。先行きの不透明感が強いことが一部企業の様子見スタンスに繋がったものとみられる。
なお、15年度計画(全規模全産業8.0%増)は事前の市場予想(QUICK 集計7.1%増、当社予想は8.0%増)をやや上回る結果であった。一方、16年度計画(全規模全産業4.8%減)は事前の市場予想(QUICK 集計4.6%減、当社予想は5.9%減)を若干下回る結果であった。
さすがに経営環境の悪化を受けて一部先送りの動きも出ていると考えられ、昨年3月調査での上方修正幅(0.8%ポイント)には及ばないものの、依然高水準の企業収益を背景に、下方修正は避けられた。とりわけ、労働集約的側面が強い非製造業では人手不足感が強く、省力化投資が一部下支え役になっているとみられる(図表11~12)。
今回から新たに調査・公表された16年度の設備投資計画(全規模全産業)は、15年度計画比で▲4.8%となった。例年3月調査の段階ではまだ計画が固まっていないことから前年割れでスタートする傾向が極めて強いため、マイナス自体にあまり意味はない。そこで、近年の3月調査との比較が重要になるのだが、今回調査の結果は例年よりもややマイナス幅が大きめだ。先行きの不透明感が強いことが一部企業の様子見スタンスに繋がったものとみられる。
なお、15年度計画(全規模全産業8.0%増)は事前の市場予想(QUICK 集計7.1%増、当社予想は8.0%増)をやや上回る結果であった。一方、16年度計画(全規模全産業4.8%減)は事前の市場予想(QUICK 集計4.6%減、当社予想は5.9%減)を若干下回る結果であった。
(2016年04月01日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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