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■要旨
中国の保険会社による理財関連商品へ投資が短期間で大幅に増加している。保監会の調査結果によると、2014年6月末において、信託商品に投資をしている保険会社は全体のおよそ6割にあたる78社、投資残高は前年末比のおよそ2倍にあたる2805億元となった。この残高は同期の保険会社の総資産の3%にあたる。
保監会は報告において、信託商品への投資について、(1)投資残高の急速な拡大、(2)投資先の過度な集中、(3)信託会社と保険会社の関係性、(4)投資範囲や投資対象の不明確性、(5)信託会社・投資商品の評価システムの未整備といった5つの課題を挙げた。
2012年以降、金融政策の緩和の流れの中で、保険会社の運用も大幅に緩和が進んでいる。理財関連商品への投資もその一環として許可された。また、保監会としては、運用面での規制を緩和することで、2009年から下降している運用利回りの回復を目指した向きもある。結果的に、2013年は規制緩和の効果もあって、運用利回りが4年ぶりに回復し、5.04%(前年は3.39%)となった。
報告で指摘された保険会社には、中小規模の保険会社や、販売チャネルを特化したことで保険料が短期間で急増した保険会社等が散見され、脆弱な基盤の下での行きすぎた運用利回りへの追求も大きな課題である。しかも、信託商品は理財商品よりも潜在的なデフォルトリスクが高いとされている。信託商品の管理・監督は、銀行を管轄する銀監会が実施しているが、保険会社を管轄する保監会との連携した監督体制は十分とはいえない。保監会も監督が進む銀監会と足並みを揃えて対応する必要がありそうだ。
(2014年11月18日「保険・年金フォーカス」)
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- 【職歴】
2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
(2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
(2019~2020年度・2023年度~)
・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
・千葉大学客員教授(2024年度~)
・千葉大学客員准教授(2023年度) 【加入団体等】
日本保険学会、社会政策学会、他
博士(学術)
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