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- 家計調査14年5月~駆け込み需要の反動以上に落ち込む個人消費
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■見出し
・実質消費支出は市場予想を大きく下回る
・個人消費は駆け込み需要の反動以上の落ち込みに
■要旨
総務省が6月27日に公表した家計調査によると、14年5月の実質消費支出は前年比▲8.0%(4月:同▲4.6%)となった。減少幅は前月を上回り、事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲2.1%、当社予想は同▲2.2%)を大きく下回る結果となった。月々の振れが大きい住居、自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)は前年比▲6.4%(4月:同▲6.6%)となり、減少幅は前月とほぼ変わらなかった。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は14年3月に前月比10.8%と急増した後、4月が同▲14.2%、5月が同▲1.1%となった。消費税率引き上げ直後の4月に急速に落ち込んだ後、5月に水準をさらに切り下げた点は前回増税時と同様だが、直前の駆け込み需要が大きかった分、今回のほうが水準の下がり方も大きくなっている。
同日経済産業省から公表された商業販売統計によると、14年5月の小売業販売額は前年比▲0.4%(4月:同▲4.3%)となり、減少幅は前月よりも縮小した。季節調整済指数で見ると、3月が前月比6.4%、4月が同▲13.6%、5月が同4.6%となっている。
家計調査の実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)を駆け込み需要が本格化する直前の2月と比較すると、3月が10.8%高くなる一方、4月が▲4.9%、5月が▲5.9%低くなっており、3月のプラス幅を4月と5月を合わせたマイナス幅(▲10.9%)が若干上回っている。同様に、商業販売統計の小売販売額指数(季節調整値)は2月の水準を3月が6.4%上回る一方、4月が▲8.1%、5月が▲3.9%低くなっており、4月と5月を合わせたマイナス幅(▲12.0%)が3月のプラス幅を大きく上回っている。
このことは、消費増税後の個人消費は駆け込み需要の反動以上に落ち込んでいることを示している。反動減に加え、物価上昇に伴う実質購買力の低下が個人消費の押し下げ要因となっている可能性が高いだろう。
14年4月の「現金給与総額(名目)」は前年比0.7%となったが、給与総額の約4分の3を占める所定内給与は前年比▲0.3%(3月も同▲0.3%)と期待はずれの結果となった。その一方で消費税率引き上げに伴い物価上昇率が急速に高まったために、「実質賃金(現金給与総額)」は前年比▲3.4%の大幅な低下となった。反動減の影響が一巡した後も、実質購買力の低下が先行きの個人消費の下押し圧力となることが懸念される。
(2014年06月27日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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