- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 中国・アジア保険事情 >
- アジアの先進生保市場:NIEs-各市場の概況とその特徴点について-
■要旨
アジアNIEs(シンガポール・香港・台湾・韓国:新興工業経済地域Newly Industrializing Economies)は生命保険の分野においてもアジア域内の先進保険市場となっており、本レポートではその概況や特徴点などについて述べた。
NIEsにおける生命保険の普及度は、4カ国・地域の平均で、収入保険料の対国内総生産(名目GDP)比が平均10.1%と日本の9.2%を超え、また一人当たり収入保険料も平均2,570ドル、特に香港は4,038ドルと日本の4,137ドルに近い水準にあり相当成熟した保険市場となっている。生保の収入保険料規模でも、韓国7位、台湾9位、香港18位、シンガポール27位と経済規模に比して上位にランクされている。また4市場では、今後も中期的に堅調な保険料収入の伸びが予想されている。その理由としては、第一に、さらなる経済発展による富裕層・中間層の増加や生活水準の高度化による保障金額の増と保障内容の充実が挙げられる。二番目は、少子高齢化の影響である。NIEsはわが国に準じて少子高齢化の傾向が顕在化しつつあり、さらに女性の社会進出や核家族化も進んでいる。そのような環境下で保障の充実や年金等による退職準備や老後の医療保障への準備の必要性が高まるものと考えられる。加えて、元々子供の教育に熱心なNIEsの国・地域において少子化が進行する中では、教育資金の準備を目的とする保険商品への需要も大きいと考えられる。また、外資系生保企業の存在感が大きいシンガポール・香港と地場生保企業の存在感が大きい台湾・韓国という見方もできよう。
シンガポール・香港は国際的な金融市場、多くの国際的企業のアジア地域統括拠点の所在地など優れたビジネスインフラで高い評価を受け、台湾・韓国は世界的な電気・電子産業の重要拠点としての位置づけを有しており、日本にとっても、産業や生活の様々な面におけるIT技術の活用のあり方など参考にすべき点が多い。もちろん、少子高齢化対応も日本・NIEsに共通の課題である。さらに、シンガポール・香港の生保市場は欧米の有力保険会社が様々な保険商品や販売手法を持ち込み競合しており、いわば「ショーケース」ともいえる状況にもある。このようなNIEs各市場の動向は、アジア最大の生保市場であるわが国としても注目に値するものと考えられる。
(2014年02月25日「保険・年金フォーカス」)
このレポートの関連カテゴリ
平賀 富一
研究・専門分野
平賀 富一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/01/30 | 若者の「内向き志向」は本当か?-潜在する動機・意欲を引き出す早期教育の必要性- | 平賀 富一 | 研究員の眼 |
2017/12/28 | 日本経済・社会を活性化する起業の促進のために最も必要なこと | 平賀 富一 | 研究員の眼 |
2017/11/30 | 世界のビジネスモデルを変革する起業家の出現を期待! | 平賀 富一 | 研究員の眼 |
2017/11/21 | CLM諸国の保険市場動向-最近の各市場における変化を中心として- | 平賀 富一 | 保険・年金フォーカス |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年12月05日
年金の「第3号被保険者」廃止論を3つの視点で整理する(前編)- 制度の概要と不公平感 -
2024年12月04日
日本の木造中古戸建て住宅価格の中央値は1,600万円(2023年)~アメリカは39万ドル余で日本の3倍以上だが、経年減価が米国並みになり為替も購買力平価に収斂すれば同程度に~ -
2024年12月04日
中国の社会保障財政(2023年) -
2024年12月04日
次期私的年金改革の方向性で大筋合意 -
2024年12月04日
東京の出生率はなぜ低いのか ――少子化をめぐる「都市伝説」
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【アジアの先進生保市場:NIEs-各市場の概況とその特徴点について-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
アジアの先進生保市場:NIEs-各市場の概況とその特徴点について-のレポート Topへ