コラム
2014年01月07日

ゴールドとプラチナ、グリーンビルディングの最高水準をめぐって

増宮 守

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ゴールド(金)とプラチナ(白金)では、どちらが高価でしょうか。一般的には、プラチナの方がゴールドより希少で高価な印象があると思います。しかし、長期的にみると、90年代前半には両者の価格は同水準で推移していました。90年代末には、ゴールド価格が低迷する一方、プラチナ価格が上昇局面に入り、その後は約10年にわたってプラチナがゴールドの2倍程度の価格で取引されてきました。最近では、両者の価格は再び接近しており、その時々のタイミングによりどちらが高いとはいえない状況となっています(図表-1)。


ゴールドとプラチナの価格推移


ところで、グリーンビルディングという言葉をご存知でしょうか。グリーンビルディングは、米環境保護庁が「立地、設計、建築、運営、メンテナンス、改装、解体まで、建物のライフサイクル全体を通して、環境に責任のある、資源効率の高い仕組みや方法を用いた建物」と定義しています。簡単にいうと、環境に配慮した優れたビルといったところです。米国では、NPOのU.S. Green Building Councilが、グリーンビルディングの基準となるLEED認証制度を運営しています。対象のビルについて各項目を評価し、その合計点により、下からサーティファイド、シルバー、ゴールド、プラチナの認証を付与しています。

LEED認証は国際的な認知度が高いため、海外企業のテナント誘致を視野に、日本でも取得するケースがみられます。ただし、日本で最上位のオフィスビルのLEED認証は、ゴールドとなっています。全館LEDライトやダブルスキンファサードなどの最新技術を網羅したビルでも、プラチナとなる合計点に届いていません。たとえば、喫煙の排気に関する項目などに米国の特徴がみられ、得点を上げるには特別な対応が必要とされています。

一方、日本でもビルの環境性能を測る認証制度が複数あり、最近では、日本政策投資銀行のDBJ Green Building認証(以下、DBJ認証とする)を取得したビルが増えています。LEED認証と同様、各評価項目の合計点により、下からサーティファイド、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの認証を付与しています。

最新の環境配慮型オフィスビルには、LEED認証のゴールドとDBJ認証のプラチナを両方取得するケースもみられます。どちらもゴールドやプラチナというラベルを用いていますが、独自の評価による性格の異なる格付けといえます。オフィスビルについては、LEED認証がゴールドでもDBJ認証がプラチナであれば、最高水準の環境対応をしたビルとみて間違いないでしょう。

東京都のアジアヘッドクオーター特区構想などもあり、今後、ビル経営にとって海外企業の誘致は、さらに重要になると考えられます。グリーンビルディングをめぐっては、積極的にLEED認証のプラチナ取得を目指す動きが出てくるのか、あるいは、DBJ認証のプラチナが最高水準という認識が定着するのか、今後が注目されます。


 
 The Leadership in Energy and Environmental Design。
 日本のオフィスビルで、構造や外装についてLEED認証のプラチナを取得した例はありませんが、飯野海運が飯野ビルの内装の一部(飯野海運本社部分)について、物産不動産が既存の物産ビルの運用や管理について取得した例はみられます。世界的にも、米国以外でオフィスビルの構造や外装についてLEED認証のプラチナを取得した例は多くありません。
 二重構造のガラスカーテンウォール外壁により、熱遮断性、エネルギー効率を高めたもの。
 CASBEE(建築環境総合性能評価システム)、SMBCサステイナブル ビルディング評価融資、東京都のトップレベル事業所認定、低炭素ビルTOP30など。
 2013年12月末現在、112棟のオフィスビルがDBJ認証を取得。
 DBJ認証では、ビルの性能に加え、環境・社会への配慮についても評価しています。

(2014年01月07日「研究員の眼」)

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