- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 良い物価上昇と悪い物価上昇
■要旨
消費者物価(生鮮食品を除く総合)は2013年6月に1年2ヵ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた後、上昇ペースが徐々に高まっていくことが予想されるが、ここにきて悪い物価上昇への懸念が高まっている。悪い物価上昇が望ましくないことは言うまでもないが、これまで「良い物価上昇」、「悪い物価上昇」はどのくらいの確率で出現してきたのだろうか。
消費者物価上昇率が加速した局面において、需給バランスの改善と実質賃金の上昇が同時に起こった場合を「良い物価上昇」、需給バランスの悪化と実質賃金の低下が同時に起こった場合を「悪い物価上昇」として、日本、アメリカ、イギリス、ドイツの1970年以降の四半期データをもとに、それぞれの出現確率を求めた。
いずれの国でも、「悪い物価上昇」の確率が「良い物価上昇」の確率を上回った。「良い物価上昇」の確率はアメリカで7%、それ以外の国は20%台、「悪い物価上昇」の確率は4ヵ国ともに30%前後だった。
過去の実績からみて、需給バランスの改善と実質賃金の上昇が揃った形で物価上昇が加速するという「良い物価上昇」を続けていくことは困難である。さらに、消費税率引き上げ時期を含む2年間でこれを実現することは至難の業と言ってもよいだろう。何が何でも2%の物価目標を達成するということであれば、初めから「悪い物価上昇」を甘受する覚悟が必要かもしれない。
03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【良い物価上昇と悪い物価上昇】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
良い物価上昇と悪い物価上昇のレポート Topへ