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- 拡大が期待される国内年金基金による不動産、インフラ投資
2012年12月04日
要旨
- 日本の年金基金は、長らく続くデフレへの対応などから債券比率の高いポートフォリを構築してきたが、欧米豪の年金基金に比べ、不動産、PE(プライベートエクイティ)、インフラ、ヘッジファンドなどの「その他資産」比率の低さが目立つ。市場のグローバル化により、伝統的資産におけるグローバル分散投資効果が薄れた上、インフレーションが構造的リスクとなるなか、ポートフォリオ構築において「その他資産」への注目が高まっている。
- 国内年金基金の「その他資産」比率が特に低い理由のひとつは、不動産投資比率の低さであるが、最近は、市場関係者の努力により投資環境の整備が進んでおり、年金基金による不動産投資拡大の兆しもみえつつある。
- 不動産投資以外では、国内年金基金の「その他資産」比率が低い原因として、インフラ投資を挙げることができる。たとえば、インフラ投資先進国であるカナダでは、大手年金基金が自社チームによる直接投資を積極的に進めており、インフラ資産だけで2桁の資産比率を占める年金基金も珍しくない。
- 今後、先進国での既存インフラの更新や新興国での新規開発には巨額の資金が必要といえ、各国政府の財源不足を背景に、民間資金によるインフラ投資機会の拡大が予想される。さらに、これまでインフラにプロジェクトファイナンスローンを提供してきた銀行の与信力が低下する中、ローンや債券形態でのインフラ投資機会も拡大するとみられる。
- 国内年金基金も、退職後の生活資金を提供するという本来の役割に立ち返れば、将来のインフレーションリスクに備えることは有意義であり、また、長期負債とのマッチングのために長期投資対象の確保が求められる。このように考えれば、投資環境の整備が進む不動産や、投資機会の拡大が期待されるインフラ資産は、国内でも、大規模な年金基金にとって重要な投資対象となる可能性がある。
(2012年12月04日「基礎研レポート」)
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増宮 守
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