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あなたがお読みになった新聞は、公的年金の財政状況をどう伝えていたただろうか。
去る8月10日に、厚生年金と国民年金の2011年度の収支概況が発表された。筆者が確認した翌日の朝刊5紙のうち、見出しに「黒字」と書いたものが3紙、「積立金が減」と書いたものが1紙、取り上げていないものが1紙だった。
どれが間違いというわけではない。厚生労働省の発表資料には、収支の差がプラスであるとも、積立金残高が減少したとも、両方が書いてある。また、年金財政は単年度で語り尽くせないため、この発表を紙面に取り上げないという選択もあり得るだろう。
年金に限らず、記事によって内容が異なることはよくある。書き手の意図か紙幅の問題なのかは分からないが、今回のように政府の発表を伝えるだけでも、どの部分が切り取られているかで読者が受ける印象は変わるだろう。
我々が眼にする情報は事実には違いないだろうが、すべてが伝えられていると思い込むのは危険なのかもしれない。
(2012年10月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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