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新聞報道によれば、札幌市周辺で白菜の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が発生し、死者が7人に達したとのことである。心からご冥福をお祈りしたい。
夏季には腸管出血性大腸菌O157による食中毒が多く発生するが、腸管出血性大腸菌感染症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(従来の伝染病予防法、性病予防法、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律の3法を統合し、1999年4月に施行された。以下、「感染症予防法」)に基づく3類感染症として、患者および無症状病原体保有者について、診断した全ての医師に保健所などへの届出が義務付けられている。
腸管出血性大腸菌O157をはじめとした感染症で入院した場合や、亡くなった場合の保険会社による保障はつぎのとおりとなっている。
生保会社の医療保険や入院特約では、感染症による入院も通常保障の対象となり、万一亡くなった場合には、終身保険や定期保険などによる死亡保障に加え、災害割増特約(災害死亡時に保険金を上乗せして支払う特約)などが付加されている場合には、保険加入の時期にもよるが、一部の感染症について災害死亡保障の金額も支払われる(たとえば、終身保険1,000万円に災害割増特約が1,000万円付加されているケースでは、腸管出血性大腸菌O157で亡くなった場合、通常2,000万円が支払われる)。
生保会社で販売している災害割増特約などの災害関係特約は、本来「不慮の事故」を保障する特約であるが、従来より、感染症予防法の前身である伝染病予防法に定める法定伝染病・指定伝染病を保障しており、腸管出血性大腸菌O157や、ペスト、痘そう、腸チフスなどの感染症の一部も不慮の事故に準じたものとして保障しているケースが多い(ただし、結核や後天性免疫不全症候群などの感染症は、災害関係特約の保障対象から除外されている)。
一方、損保会社においては、一般的な傷害保険では感染症に対する保障はなく、特定感染症危険担保特約が付加されている場合に、感染症による入院・通院などが保障される。
ただし、国内旅行傷害保険、海外旅行傷害保険については、特約が付加されていなくても感染症に対する保障がセットされているようである。
万一、腸管出血性大腸菌O157をはじめとした感染症で入院した場合や、不幸にして亡くなった場合には、加入している生保会社・損保会社の商品内容を十分確認し、請求もれがないよう注意する必要があろう。
(2012年08月27日「研究員の眼」)
小林 雅史
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