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- 介護が必要になる前に、介護保険サービスを探そう!
2000年に介護保険制度が導入されて早12年。厚生労働省によると、平成22年5月~平成23年4月審査分における介護予防サービスおよび介護サービスの年間実受給者数は490万人を超え1、高齢者のみならず、高齢の親を持つ現役世代においても「介護」は身近な話題となってきている。
それでは、現役世代の介護に対する不安にはどういったものがあるのであろうか。先日発表された東京大学社会科学研究所ワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクトが行った従業員の介護ニーズに関する調査2によると、回答のあった協力会社の社員(2,099人、平均年齢47.6歳)における将来の介護に対する不安のトップ3は、「介護がいつまで続くかわからず、将来の見通しを立てにくいこと(50.0%)」、「適切な介護サービスが受けられるかどうかわからないこと(43.5%)」、「公的介護保険制度の仕組みがわからないこと(39.1%)」であった。
確かに、介護は育児と異なり、将来の見通しが立てづらい。平成22年国民生活基礎調査3によると、「介護が必要となった主な原因」として最も多いのは「脳血管疾患(脳卒中)」で、全体の21.5%に達しており、次いで「認知症」(15.3%)、「高齢による衰弱」(13.7%)であった。
脳血管疾患はいつ発症するかわからないものだし、認知症にしても、周囲が気がついたときにはある程度進行していることもある。そもそも、高齢者は複数の疾患を併せもっていることが多いため、いつ何時に何がおこるのかの予想がつきにくい上、その後の回復についても、年齢や健康状態等により様々であることから、「将来こうなる」といった見通しが立ちにくい。しかし、だからこそ、早いうちから介護保険やそのサービスについての情報を得ておくべきではないだろうか。特に脳血管疾患といった突然の病気で親や配偶者に介護が必要になった場合、症状によっては、(1)入院中に要介護認定の手続きをし、(2)要介護認定がおりたら介護保険サービスの選択と契約手続きをし、(3)在宅介護の準備をする-例えば介護用ベッドや車椅子といった福祉用具のレンタルやそれらを置く場所の確保、トイレやお風呂場の手すりの設置、玄関の段差解消などなど、「やるべきこと」が目白押しとなる。そうなったら、介護保険の仕組みを学んだり、「良い介護保険サービス」を探している余裕はない。
介護保険制度が導入されて以降、特定非営利活動法人(NPO法人)や民間企業が介護保険サービス事業に参入し、特に在宅サービス関係において急激に事業者数が伸びている。下記の図は、2006年12月31日時点における全国の各介護保険サービスごとの事業所数を100%とし、各年12月31日時点における伸び率を示したものであるが、わずか5年間の間に、特定施設(有料老人ホーム)は2006年次に比べて154.5%、デイサービスは148.2%、一時若干の減少傾向を示した訪問介護も、2006年比で109.4%の伸びを示している4。
これだけ数が増えてくれば、どうしても事業所ごとのサービス内容に違いや差が生じてくることは避けられない。例えばデイサービスであれば、少人数の家庭的な雰囲気を大事にしている事業所や機能回復訓練に力を入れている事業所等もあれば、大人数で同じレクレーションを楽しむ形式の事業所もある。また、市区町村等による介護保険サービスに関する調査結果6によれば、利用者の満足度は総じて高いが、不満の声も若干ではあるが挙がっている。
このように、介護保険サービスに「違い」や「差」がある以上、もし自分の親や配偶者に介護が必要になった際には、本人の希望にそったサービスを選びたいではないか。これからの季節、夏祭りなど一般の人が参加できる行事を行う事業所も多いので、様子を覗いてみてはいかがだろう?「これは!」と思う介護保険サービス事業所が見つかれば、いざというときの安心が1つ増えるだろう。
(2012年07月04日「研究員の眼」)
進藤 由美
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進藤 由美のレポート
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