2012年04月02日

3月調査日銀短観~大企業・製造業の景況感は横ばいの▲4、先行きの改善もわずか

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. 大企業製造業業況判断D.I.は▲4と前回から横ばいとなった。前回調査以降もしばらくは欧州問題で緊張感の高い状況が継続し、円も高止まった。その後はタイ洪水の影響剥落に加え円高修正など輸出企業の経営環境は改善したはずだが、前回水準を上回るほどの反発には至らなかったようだ。欧州等の景気減速感や原油価格の上昇などが制約要因となった可能性も高い。中小企業は前回から2ポイント悪化。円高修正の直接効果が限定的となる一方で原油高の影響を受けやすいことが影響した可能性がある。非製造業は消費が底堅く推移する中、スマホ人気や復興需要もあり、大企業、中小企業ともに改善した。
  2. 先行きについては、大企業でほぼ横ばい、中小企業ではかなりの悪化を示し、企業の慎重姿勢が明らかとなった。とりわけ景気低迷や事業環境悪化への対応力が相対的に乏しい中小企業では悲観的な見方が強い。
  3. 今回から公表された12年度計画について、収益は増収増益見通しとなったものの、経常利益は11年度の落ち込み分も取り戻せず、市場が描いている「12年度大幅増益シナリオ」とは乖離がある。前提となる12年度想定為替レートも78円台前半とかなり慎重な印象。一方、12年度設備投資計画については11年度のスタート時点を上回り、近年では最も高い水準。本格回復を示唆しているとはまだ判断しかねるが、先行きについての一つの明るい兆しではある。



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(2012年04月02日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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