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- 高齢者向け銀行実務について-成年後見制度への対応を中心に
・急速な高齢化の中で、認知症高齢者が増加しており、厚生労働省などの推計によれば、2010年には約208万人(65歳以上の高齢者に占める割合は7.2%)、2020年には約289万人(同8.4%)、2030年には約353万人(同10.2%)に達するとされている。
・認知症などにより本人の意思能力が不十分な場合の対応である法定後見制度として、2000年に成年後見制度が導入され、家庭裁判所の審判による後見・保佐(従来の禁治産・準禁治産に対応)・補助(軽度の精神障害を有する者に対応するため新設)に加え、本人の判断能力低下前に、あらかじめ本人が後見人を公正証書により登記しておく任意後見制度も新設された。
・成年後見制度の導入に当たり、銀行取引の反復継続性・大量性等に鑑み、法定後見開始の審判を受けたことをあらかじめ銀行に申告しておくことがトラブル防止等の観点から本人の保護に適うと認められるときは、プライバシー保護にも十分配慮しつつ、成年後見人等がその選任時に登記事項証明書を提示して申告をすることが望ましいとされ、
・約款、契約書等への成年後見人等の届出に関する規定の新設
・届出書の様式の策定
・制度利用者への周知
が行なわれた。
・さらに、近年では、後見人などによる成年後見制度の不正事例発生を踏まえ、信託制度の機能を活用して後見制度を財産管理面で支援する「後見制度支援信託」を導入する動きもある。
・本人の意思能力が不十分な場合の対応として、生保会社においては、認知症などが発症する前にあらかじめ受取人の代理人を指定する指定代理請求制度により、「保険給付の確実な受取人への支払」を、銀行においては、成年後見人などが選任された場合の銀行への届出を規定化することにより、「決済を含む預金取引の安全性確保」を図っており、顧客にとっては、たとえば保険契約や預金取引などの内容を一覧表にしてあらかじめ家族に示しておくなどの対応が重要となろう。
(2012年01月25日「基礎研マンスリー」)
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