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■見出し
1――はじめに
2――誤解を招きやすい金融商品の仕組み
3――さらに複雑化する金融商品
4――営業の現場で
5――最後に
■introduction
日本の家計の金融資産残高が1400兆円あるいは1500兆円といわれて久しい。この家計の持つ金融資産のかなりの部分が銀行預金などにとどまっていることは周知の通りである。今から10年ほど遡る2001年頃、こうした預金偏重を問題視した小泉内閣がイニシアティブをとり、「貯蓄から投資へ」の掛け声が強く響くようになった。その最大の狙いは我が国の経済発展に必要な資金をスムーズに供給するルートを確保することにあったと言われている。仮に家計のもつ金融資産の10%が新たに株式や投資信託に向かえばその額は百兆円単位の投資となる。加えて、この新たな投資が毎年何がしかのリターンをもたらせば、家計の支えとしての意味も相当大きなものになるとも期待されていた。しかし、実際のところはリーマンショックなどの影響から、いずれの狙いも水泡に帰する結果となり、国にとっても家計にとっても大変厳しい10年となった。
図表1は総務省の家計調査のデータをもとに世帯主の年齢階級別に貯蓄残高を示したものである。当然のことながら、50歳以上の世帯の平均残高が圧倒的に大きい。これに世帯数を加味して計算すると、この世代が占める貯蓄残高は貯蓄全体の80%近くになると言われている。*1 また年齢が高い世代では有価証券への投資割合が高くなっていることも特徴的である。理由には諸説あるが、少なくともこの世代の投資意欲を下げることのないようにすることが「貯蓄から投資へ」を掛け声に終わらせないための条件の一つと言えよう。しかしその一方で、このところ金融商品を巡って高齢者からの苦情が増えている。その背景には、多様な金融商品が作りだされるなか、高齢者が自分の保有する資産を適切に管理することが決して容易ではないことや、金融商品の販売現場における高齢者とのやり取りに工夫の必要性があるように思われる。以下、このレポートでは身の回りにある事例などを踏まえて、高齢者の資産運用を巡る問題点について考えてみたい。
(2011年12月05日「ジェロントロジーレポート」)
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前田 俊之 (まえだ としゆき)
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