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- フィリピン7-9月期GDP:前年同期比+3.2%~予想を大きく超えて成長が低迷
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■見出し
・現状:輸出が大幅に落ち込む
・低成長、何が問題か
■introduction
フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は10月28日、7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質の成長率は前年同期比(原系列)で3.2%の増加となり、4-6月期とほぼ同じ成長率(前年同期比+3.1%)にとどまった 。なお、前期比(季節調整済)では0.3%の増加であった。
需要側を見ると、7-9月期に成長を抑制した原因は輸出の減速であり、前年同期比▲13.1%と大幅に落ち込んだ。同国の輸出は今までも低迷していたが、マイナス成長に転じたのは2009年10-12月期以来のことであり、純輸出の成長への寄与度では▲8.2%ポイントとリーマン・ショック時を超えるマイナス寄与となった 。内需に関しては、投資が前年同期比+0.5%と不調ではあったものの、大きく落ちこんでいた4-6月期(同▲9.9%)からは若干の改善が見られた 。また、個人消費については前年同期比+7.1%と4-6月期(同+5.5%)から加速した。
供給側を見ると、就業者の3分の1が従事する第一次産業は、台風など天候不順に見舞われ、漁業が不振だったことから、前年同期比1.8%と4-6月期(同+8.2%)から減速した。第二次産業については、前年同期比▲0.2%と2期連続のマイナス成長だったが、主要産業を抱える第三次産業 は前年同期比+5.3%と安定的に成長し、今期のフィリピンの成長はほぼ第三次産業からもたらされたことが分かる。
なお、フィリピンの国内消費にも影響を及ぼす海外への出稼ぎ労働者からの送金については、「海外からの純所得」として集計されている。今期は、出稼ぎ先である先進国の低迷などから前年同期比▲3.4%と4-6月期(同▲3.4%)に続きマイナスとなり、家計消費の抑制要因となっている。
(2011年11月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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