- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 年金 >
- 年金資産運用 >
- ベンチマークは負債のリターンである
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
LDI(Liability Driven Investment)が人々の口の端に上り始めてから、5年になるだろうか。欧米ではLDI が徐々に広がっているのに対して、日本では「理屈はわかるけれど現時点では導入する必要がない」という年金基金が大半である。確かに今後、金利が上昇する可能性が高い現在、長期債への配分割合を高めることには疑問がある。また、スワップを取り入れると契約の手続きや取引の相手方(カウンターパーティ)のリスク管理の手間がかかる。
しかし、忘れてならないのは年金資産運用の理想である積立比率100%を達成するには、年金負債(給付債務)のリターン(増加率)を資産のリターンが上回らなくてはならないことである。従来の年金ALM のように責任準備金を負債とすればそのリターンは予定利率になる。しかし、退職給付債務を負債とすれば、負債のリターンは退職給付債務の増減であり、国債同様に市場金利が上昇(低下)すれば、そのリターンはマイナス(プラス)になる。
問題はその負債のリターンを資産のリターンが上回るのかどうかであり、長期債への配分割合やスワップの利用は、それに比べると取るに足らない。資産運用を管理する際のベンチマークとして、負債のリターン、つまり負債の公正価値の増減を常に頭に置いておく、これこそがLDI がもたらした考え方の転換である。
(2011年03月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
このレポートの関連カテゴリ
新着記事
-
2025年04月18日
ECB政策理事会-トランプ関税を受け6会合連続の利下げ決定 -
2025年04月18日
トランプ関税へのアプローチ-日EUの相違点・共通点 -
2025年04月18日
金融セクターにおけるリスクと脆弱性(欧州 2025春)-ESAの合同報告書より。地政学的リスクとサイバーリスクに重点。 -
2025年04月18日
トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 -
2025年04月18日
「未定」が広がるのか、それとも見通しを示すのか?~関税政策と企業の開示姿勢~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【ベンチマークは負債のリターンである】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ベンチマークは負債のリターンであるのレポート Topへ