2010年10月29日

投機的マネーに揺れるアジア新興国経済

三尾 幸吉郎

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  • リーマンショックから急回復したアジア新興国経済だが、最近では成長ピッチが鈍化、先進国経済の先行きに不安が残るなかで、アジア新興国経済は高成長持続か否かの岐路に立つ。株価の上昇は楽観シナリオを支持するようにみえるが、投機的マネー流入は株価と共に自国通貨も押し上げ輸出にブレーキを掛けるため、景気減速とバブル懸念が同時に高まるリスクが浮上している。
  • 一方、アジア新興国にとって海外からの資金流入は悪いことばかりではない。経済成長の基盤となるインフラは整備途上段階にあり、都市化の進展に伴って必要になる交通インフラや都市生活関連インフラは多く、それに伴って必要となる長期融資も膨大な規模になる。
  • また、アジア新興国には経常黒字国が多く、対GDP比でみると中国を上回る経常黒字国もある。対外開放による外資導入や国際機関等からの長期融資が多くの恩恵をもたらすことは十分に認識されており、急激な自国通貨高は拒否しても緩やかな調整や内需主導への構造転換は進めざるを得ないだろう。
  • 2011年のアジア新興国経済は、当面は投機的マネーの流入で高成長・高インフレの可能性が高いが、その後は投機的マネーが逆流するリスクがある。ただし、投機的マネーとともに、実態経済の成長に資する長期融資や直接投資も流入すると見込めることから、長期的には高成長持続のシナリオを揺がすことはないだろう。
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(2010年10月29日「Weekly エコノミスト・レター」)

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