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- 米4月雇用者、4年ぶりの29万人増~失業率は9.9%に上昇
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■見出し
・米国の4月の前月比雇用者数は29万人増と4年ぶりの増加幅に
・広義の4月失業率は17.1%に上昇するも、所得面への悪影響は次第に緩和へ
■introduction
米労働省発表の4月雇用統計では、非農業事業部門の雇用者が前月比+29.0万人となり、前月の増加数(同+23.0万人に上方修正)、市場予想(同+19.0万人)をともに上回り、2006年3月(同+30.4万人)以来4年ぶりの大幅幅となった(図表1)。過去2ヵ月に遡っての改定も、2月分が+5.3万人、3月分が+6.8万人となるなど、計+12.1万人のやや大幅な増加修正となった。なお、国勢調査に向けた一時雇用者は6.6万人増であり、こうした政府部門の雇用増を除いた民間部門の雇用増では+23.1万人となり、景気回復の全般的な広がりを窺わせるものとなった。
4月の部門別の雇用増減を見ると、民間生産部門が同+6.5万人の増加となり、生産部門の内訳では、製造業が同+4.4万人、建設業が同+1.4万人、鉱業が同+0.68万人と増加した。特に建設業では2月まで32ヵ月連続で減少した後、2ヵ月連続の増加となった。また、製造業の内訳では、耐久財が同+3.0万人、非耐久財が同+1.4万人と耐久財中心の回復が続いている。
一方、民間サービス部門では同+16.6万人の増加となった。専門・事業サービスが同+8.0万人と増加が大きく、レジャー・飲食店等が同+4.5万人、教育・ヘルスケアが同+3.5万人と増加、一方、運輸・倉庫が同▲1.95万人、情報・通信が同▲0.3万人と減少した。なお、雇用の先行指標として注目される人材派遣(Temporary help services)は同+2.62万人と増加が続いた。
政府部門では連邦政府が同+6.5万人と増加した一方、州・地方政府は同▲0.6万人と減少した。連邦政府の増加は国勢調査に伴う一時的な雇用増によるが、今4-6月期に急増すると見られている。
これまでの前月比の雇用者増減数の推移を振り返ると、2009年1月に▲77.9万人と1949年以来の記録的な減少となった。その後は減少幅が縮小傾向を見せ、昨年11月には前月比+6.4万人と一時プラスに転じたあと、12月のマイナスを除くと増加が続いており、特に、3月以降は20万人を越える大幅な増加となった。なお、2008年9月金融危機以降の月平均雇用者減は▲33万人で累計では▲658万人、今回リセッション入り後、2008年1月以降の雇用減は累計▲779万人(最大は昨年末の▲836万人)に達している。
一方、家計調査による4月の失業率は9.9%と前月(9.7%)から上昇、市場予想(9.7%)を上回った。4月家計調査では雇用者が55万人増(前月比+0.4%)に対し失業者が25.5万人増(同+1.7%)となった。家計調査では4ヵ月連続の雇用増が続いているものの、景気の回復を受けた求職者の増加等により失業者も3ヵ月連続で増加しており、当面は高水準の失業率が続くと見られる。なお、失業率は、リセッション入り前の2007年11月は4.7%、金融危機時(2008年9月)は6.2%だったが、1年後の2009年10月には10.1%と1983年6月(10.1%)以来26年ぶりの高水準となった。本年1月には9.7%に低下したものの、その後は横ばいとなり、今回、前月からの上昇は6ヵ月ぶりのこととなる。
(2010年05月10日「経済・金融フラッシュ」)
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