コラム
2010年04月02日

「風呂敷」と”Furoshiki”-伝統的な日本文化のグローバル化とエコ時代における応用・進化について

平賀 富一

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最近、海外出張の際のお土産として和柄の風呂敷を持っていくことが多くなった。純日本的なものとして喜ばれ、出張荷物としてもかさばらず、軽いというのが大きな理由である。

相手にお渡しする際には、その歴史や使い方などについて、にわか勉強ながら調べた内容を出来る限り伝えるようにしているが、「使わないときには小さくたたんでおけ、使用する時には様々な形状や大きさのものを自在に包むことが出来る」という点で、物事に対する柔軟な対応に優れた日本文化を象徴するものである旨を説明するように努めている。

さらにこのような特徴がエコ時代に見直されており、環境分野活動家として初のノーベル平和賞受賞者であるワンガリ・マータイ女史などの積極的な提唱により世界に広まりつつある「mottainai」の精神の下で、レジ袋に代わる優れたものとして再評価されていることも併せて伝えるとより好評のようである。

そのような風呂敷について、いつもお世話になる浅草の老舗で興味深い話を伺った。

それは、その使い方に関するもので、外国の方々は、風呂敷とはこうしたものだという常識的・固定的な観念が強い日本人よりも自由な発想で、スカーフ、テーブルマット、壁飾りなどを含めて多くの創造的なアイディアで楽しまれており、そのお店の専門家も改めて教えられることが多いとのことであった。

優れた製品・商品は、作り手の当初の発想や狙いを超えて使い方が大きく広がるものであるとは良く言われることであるが、風呂敷という我々から見れば日本的そのものの製品がグローバルな広がりの中では全く新たな用途で使われより魅力的なものになること、さらに環境重視のエコ時代において新たな視点から評価されていることは日本人にとって嬉しいことであり重要なポイントであると感じる。

日本の知恵や経験に、グローバルな発想やアイディア(環境への配慮なども含む)を加えて、新たな魅力あるものを作り出すことに大きな意義や利点があることは、世界市場で製品・サービスの開発・提供を行う上で、日本と日本人が大切にしたいコンセプトであると思う。

風呂敷という身近な存在から改めてそのことを学んだ気がする。

(2010年04月02日「研究員の眼」)

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