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2004年に年金改革の際、一部の与党政治家がこの改革により年金制度が今後100年安心だと説明していた。反対に野党は財政検証の前提などをみると、モデル所得代替率50%を維持できるという説明が楽観的すぎると批判してきた。メディアがこれに同調したこともあり、国民の間には年金の将来に不安を感じ、新政権に是非、この問題を解決して貰いたいという声が強いようである。
しかし、どの政党であろうとも今後100年、絶対に大丈夫な年金制度を作れはしない。年金制度だけを日本の経済社会から切り離すことは不可能だからである。現在のような賦課方式の場合、出生率が低下すると給付を維持するためには、保険料や税の負担を上げざるをない。また、少子化により労働人口の増加率が鈍ると、日本経済の成長率も低くなる。成長が鈍化すると、積立方式を取ったとしても資産の収益率が低下してしまう。
年金制度は日本という船の乗客の一人に過ぎない。日本経済全体のパイが増えれば制度の維持可能性が高まり、パイが減少すれば給付の減少や負担増が起こる。しかし、どの政党・政治家も、今後100年の経済成長を保証できないし、天からお金が降ってくるわけでもない。給付と負担の内容と水準、さらに両者のバランスをどうとるかなど政策の選択肢を議論する前に、この至極単純な現実を国民やメディアに理解してもらうべきである。
(2010年02月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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