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社会保障はこれまで困った人々を助けるために存在してきたが、これ以外にも様々な効果があると考える専門家も多い。その効果の一つが経済成長効果である。社会保障が手厚くなると、その分、保険料や税負担が増え成長が抑制されるが、サービスを提供するために資本や労働が投入されれば、経済成長に貢献するという。
後者が前者の効果を大きく上回る可能性は低いかもしれないが、わが国経済の下支えになるのであれば、社会保障への支出に理解が加わるはずだ。例えば、高齢化により需要増が見込まれる医療・介護分野では、今後、多くの投資が必要だろう。政府予算が限られるなか、単にサービスを必要としている人々に役立つだけでなく、経済成長にも貢献できれば、いわば一石二鳥の投資になる。
さらに、従来型公共事業は、生活に必要なインフラ整備の意味はあっても、需要を喚起する効果は昔ほどではない。これに対して、公共スペースのバリアフリー化など、公共事業と社会保障の融合分野もでてきている。社会保障にこのような副次的な効果があるなら、これも考慮に入れて支出の多寡を検討すべきであろう。
(2009年01月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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